戯曲集
□コイゴコロというやつ
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「あ!!受付のゆみこさんだ!!」
そういうとケンは身だしなみを整える。
髪と
襟と
裾を・・・ あぁ、さっきたべたご飯粒がついている。
・・・・・・・・・・・・・・
あぁ!!ゆみこさんは行ってしまった・・・。
「俺はいつもチャンスを逃すんだよなぁ。・・・はぁ。」
『ケン・・・ ケン・・・ さぁ、瞳をとじてゆみこさんを想うんだ。』
「・・・?俺の苗字は平井じゃないよ!!って・・・誰だよ。・・・はぁ。ついに俺もおかしくなったか。」
あたりを見渡すが会社には誰もいない。
俺をケンと呼ぶやつなんかこの世にはいないのだ。
『ケン・・・ ケン・・・ おかしくなんかないさ。それは恋ってやつよ。A-HA?』
「だからお前誰だよ!!」
するとケンはいつの間にか真っ白な空間の中にいたのだ。
どこにもドアはない。・・・・けれど太腿のあたりがふわふわする。
もじゃもじゃした何かがすぐ後ろで何かを食べている。
「うわぁ!!び、びっくりしたぁ。」
『ケン・・・ ケン・・・ 私は君のコイゴコロだ。受付のゆみこさんがすきなんだろう?』
「う、…そ、そんなんじゃないやい!」
『・・・そ、そんなんじゃないやい!…っていわなくね?』
「うるさい!大体な、コイゴコロとかいうけど、本当に俺のコイゴコロなのかよ!」
『ケン・・・ ケン・・・ああ、そうだ。ケンのコイゴコロだよ。』
「その、最初の『ケン・・・ ケン・・・』てどうにか出来ないの?必要ないだろ。」
『ケン・・・ ケン・・・ そんなことを言っても無駄だ。そういうシステムだから。』
「システム!!!?システムじゃしょうがないよなー。ってなんねぇよ!
まぁいいよ。んで?なんで俺のコイゴコロだっていえんだよ。」
『ケン・・・ ケン・・・ お前のベットの下には・・・』
「わーった!!!わーーーった!!認める。認めるよ。お前は俺の」
『くまのプーさんシリーズのブルーレイが揃ってるな。』
「あ゛ぁーーーーーーーーーー!!!!!」
「言うなって。。。それは言うなって。。。」
『30超えてそれはちょっと恥ずかしいよなー』
「こら!もうわかったよ。んで?なんで俺はここにいるわけ?っていうか此処は何処なわけ?!なんでプーさんシリーズあるのしってるわけ!!!?」
『コイゴコロセンター』
「―コイゴコロセンター?」
『そうだ。ここはお前のような迷える小熊ちゃんを見つけては、「恋してるんだよ!」ってわからせてやってんのさ。』
「代金は?」
『俺の世界に"金"という概念はない。』
「あぁ。プーさんシリーズは?」
『お前の心の中にいるんだ。それくらいどこになにがあるのか、わ・か・る・ん・だ・よ。』
ま、"金"という概念はないがもらえるもんはもらうがな。』
「プーさんシリーズはやらねーよ。」
『いらねーわ!!!もらっても捨てるわ!!!一回だけ見て。』
「見るんじゃん!!やっぱりきになるんじゃーーーん!!!」
『そんなことはどーーーだっていいのだーーー!!!
ゆみこさんとはどれくらいの仲だ?』
「うーん、挨拶交わすくらいだよ。俺は普通に営業だし、あんまり話す話題もないんだ。
だってうちの会社の受付って言ったらもう高嶺の花だもん。
はぁ〜、こんな俺にもチャンスこねぇかなぁ〜。。。」
『チャンスだ?』
「そうだよ。ゆみこさんと話せたり、あわよくばふたりっきりになるようなチャンスがあれば
俺にだってなん」
『ぐわぁっぁあっぁっぁぁぁっぁぁぁあああああ!!!』
「・・・・・・!!!!」
『・・・―――お前のココロがそんなんだからダメなのだ。そんな気持ちじゃいつになってもゆみこさんどころか
女友達もできん!いや、営業ならばなおさら仕事だってうまくもいかない!!』