小説的なもの

□わたりどり
1ページ/3ページ

旅がしばしの終わりを告げたので、バルサはタンダの家に来た。荷物の整理と同時に、わたしは元気だよ、と彼に伝えるためだ。
入口の側に来ると、横たわったタンダが見えた。

「…なんだい、せっかく来てやったのに昼寝中かい」

あきれた口調でバルサが呟いた。帰還を喜んでもらえると思ったのに…。
(ま、そっとしておこう)
タンダを起こさないように、荷物の整理をする。
整理を終えると外に出た。強い風が近い春を知らせている。
家のほうに戻るが、タンダはまだ眠っている。

(よほど疲れてるんだね。…わたしがいたら、もっと疲れるよね)

泊まっていこうかとも考えていたが、すぐに旅に出ようと決めた。
ふと顔を上げると、ツバメの巣が見えた。まだ何もいないが、もう少し日が経って暖かくなったらツバメは戻って来るだろう。
バルサはふとツバメと自分を重ねた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ