小説的なもの

□きみのため
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「聞こえてるよ」

戸を開けると、バルサの姿はもう見えなくなっていた。が、タンダはしばらくずっと、バルサが消えた方向を見ていた。

(――俺が、お前の巣を守ってやるよ)







小屋が見えなくなるくらいの所まで来ると、バルサは大きく息を吐いた。
(少し、気障だったかな)
口に出さなけりゃ良かったな、とバルサは赤面した。

わたりどりには、帰る巣がある。その巣には、巣を守ってくれる人がいる。巣を守ってくれるきみのために、わたりどりが出来ることは――…。

次、巣に帰ってくるときに、元気な姿を見せてやることだな、とバルサは思った。



―――
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