REBORN!*

□ホットミルクで温めた
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朝からずっと雨が降っている。

寒い時期の雨は嫌い。
それでも私はベランダで雨を見続ける。


「寒くねーの?」


後ろから声がする。私の大好きな彼の声。

でもきっと幻聴だ。
だって、彼は、今イタリアにいるもの。


「無視って酷くね?オーイ?」


なんでだろ、妙にリアルに聞こえる。
等々焼がまわったか。

でも、誰もいるはずのない部屋なのに後ろから誰かに抱き締められた。

そしてなぜかその手には湯気を立てたカップ。


『…た、けし…?』

「何で無視したんだ?」

『幻聴かと…思った』

「ハハッ」


嗚呼、本物だ。
声も、このぬくもりも、全部。

私は体を回転させて正面で武に抱きついた。


「身体、冷えてるだろ?ほら、お前の好きなホットミルクなのな」


少し身体を離して目の前に出されるホットミルクのはいったカップ。

私は受け取り、一口飲んだ。
すごく、暖かい。


『ありがと』

「おう」

『武』

「ん?」

『おかえり』


背伸びをして、武にキスをした。
そして武は、「ただいま」と言って私にキスを落とした。



ホットミルクで温めた
(ずっとずっと、あなたの帰りを待ってたの)


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