†ているず おぶ じ あびす 〜2人の約束〜†

□疑惑
1ページ/4ページ

「ちょっと…めったな事を言うものではないわよ」
「!?」
城で働くメイド達の声がしてナタリアはふと息を殺した。部屋の扉にはりつくようにしてそっと耳をすましてみた。メイド達はナタリアが部屋にいる事に気づいていないらしい。
「だっておかしくない?ナタリア様は金色のお髪に翡翠の瞳…。でも国王様は燃えるように赤いお髪をされているし、亡き王妃様は黒髪と聞いているわ」
「ナタリア様がお二人の子供じゃないってこと?」
「!?」
ナタリアの表情は一瞬にして凍りついた。せっかく先ほどガイが慰めてくれたのにも関わらずメイド達の言葉はナタリアの小さな心にグサリとささった。
(わたくしが……お父様の子供じゃない!?)
そんな馬鹿な事があるだろうか…。生まれてからずっと大切な国王に育てられてきた。国を背負う身となる王女のナタリアにとってそれはあまりにも残酷な事であった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ