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□紫苑という名
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その昔。

神である自分の感覚でも、気の遠くなるほど昔。


俺は生まれた。
夜を支配するために。


だが、それゆえに心は闇に捕われていた。

それに縛りをかけるために、母はある日こう言った。



「月読、お前に名を与えよう」

「母上、名ならもうすでに・・・」

「お前の中の鬼を縛るための
呪文だよ」


「母上、何という名ですか?」

「−−−紫苑」

「紫苑とは、あの花の・・・?」


俺の問いに、もう役目を終え今は居なくなってしまった母は、ゆっくりと頷いた。



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