完結作品

□それが君なら
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例え君がどんな格好をしていても、君が君である限り、僕は君を……

「龍佑、どうした?」
「……ううん、何でもないよ」
「そうか。何かあれば言えよ」
「ありがとう、純」

君の優しさは、僕の心に浸透していく。
ああ、どうして君はそんなに優しいのに、周囲から嫌われるのだろうか。
……理由なんてすぐ判る。
君がまるで喧嘩ばかりしてますって主張するような格好をしているから。
髪は金色に染まり、左の耳にはピアスが三個。
学校指定の学ランは短ランで、その下に身に付けているシャツは真っ赤で派手な色。
しかも腰パンときた。
確かに、誰も君が優しい人だなんて思わないよ。
でもね、

「龍佑、はぐれないように手ェ繋ぐぞ」
「うん」

だから、僕が君を独り占めできるんだ。
それが嬉しくて、ずっとそうであってほしいから、

「純」
「んあ?」
「僕は――」

僕は、君に何も言わない。




それが君なら
(どんな姿でも愛せる)




*fin*

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