完結作品

□独占欲
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オレの恋人は可愛い。
いや、確かに贔屓目があるかもしれないが、それ無しでも充分可愛いと思う。
先週は五人、今週は既に三人の男に告白されている。
大抵告白される時間帯は放課後で、オレがアイツを迎えに行き、そのまま一緒について行ってやる。
まぁさすがに告白の場面にはいれないから、あとはアイツ一人で行かせるんだが……。
毎回、アイツは恥ずかしいことを言う。

「俺、ずっとキミのこと良いなぁって思ってたんだ。いつも笑顔で明るくて、性格も朗らかで……。だから、その、俺と付き合ってください!」
「ごめんね。僕、好きな人がいるから」
「……噂は、本当なのか?」
「噂?」
「その……キミが、“金色(こんじき)の純”と付き合いがあるって」

“金色の純”とはまさしくオレのことだ。
一時期暴れ回っていたら、いつのまにか妙な字を付けられた。
金色とか……ただ、頭が金髪なだけだし。

相手の言葉に、オレの恋人はニコッと笑った。
ああ、あれは外面用だ。

「うん。僕は純を愛してるから」
「ッ!?」
「あ、純に手出ししないでね! 純は僕のなんだから」

……まったく、アイツはよく恥ずかしいことをよく言えるな。
オレとしては嬉しいんだが、相手の奴が顔を真っ赤にしてるぞ。
相手の奴が暴走する前に、そろそろオレも出ようか。

「あ、あんな凶暴な奴なんてやめろ! 俺にするんだッ」

そう言ってアイツの肩に両手を置いてきた。
……今、イラっとした。
オレは瞬時にアイツの腰を掴み、引き寄せる。
すると、可愛いオレの恋人は、まるで花が咲いたように笑った。

「純!」
「……オレのに手を出すとは、いい度胸だな。あ゙ぁん!?」
「ヒィ! ご、ごめんなさいッ」

ちょっと睨みを利かせたら、相手の奴は走って去った。
オレの睨みで逃げてるようじゃ、まだまだだな。

「純、遅いよ」
「ああ、悪い。龍佑の肩に触れさせちまった」

オレは華奢な恋人をしっかりと抱き締める。
すると照れ笑いをして、おねだりをしてきた。
コイツが告白された後にいつもするおねだり。

「じゃあ消毒でキス」
「……口はセーフだったろ」
「むー。純!」

コイツが言いたいことは解る。
どうせ、何かに託けてオレとキスしたいだけだ。
まったく、どうしてこんなにコイツは可愛いんだろうな……。

オレは頬を膨らませ拗ねている恋人の妖艶な唇に、そっと自分のそれを重ねた。
忽ち恋人の機嫌は直り、オレたちは暫くそうしたままだった。




独占欲
(それがあるのはお前だけじゃない)




*fin*

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