完結作品

□俺と寮長
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頑張れ、俺。
俺はまだ大丈夫だ。
と暗示を掛けつつ、俺は理事長室を出た。
さっきまでこの学校の説明を受けたが、いろいろと面倒そうだ。
あまり関わらないようにしよう。
さて、あまり気は乗らないが、東宮さんにメールしないと今度は何をされるか解ったもんじゃない。

『終わりました。理事長室の前で待ってます 光輝』

こんなんで良いのか?
とりあえず東宮さんが来るまで、変態オヤジの説明をまとめよう。
えっと、確かクラスは成績順で分けられる。
で、生徒会は、なんかよく解らんが別格だから生徒会専用のクラスがある。
生徒会のクラスは通称Sクラス。
変態オヤジ曰く、関わらない方が身のためらしい。
何でも親衛隊とかがあるとか。
……うわー、姉貴が言ってた通りだ。
俺のクラスは一体何だろうなぁ(現実逃避中)
そして寮は学年で階が違い、クラスで部屋割りされる。
ルームメイトが同じクラスなのは助かるな。
部屋割りは二人が基本だが、階も棟も違うらしい生徒会の皆様は一人一部屋、しかもデカいらしい。
……此処の学校は生徒会を崇拝でもしてるのか?
寮については寮長がいるらしいから、彼に詳しく訊けということだけど……優しい人が良いなぁ。
出来れば平凡希望。
もう、眩しすぎて目が痛い。

「あれ、こんな所に知らない子がいる」
「へ?」

いつの間にか、目の前に爽やかイケメンさんが立っていらっしゃいました。
またイケメンか……。
でも、目の前の人はいかにもスポーツしてますって感じで、嫌みを感じない。
いや、別に東宮さんに嫌みを感じたわけじゃないけど。

「あ、もしかして噂の転校生?」
「う、噂?」
「そう。入学式の最中に昶をテレパシーで呼んだ神の子」
「…………」

もう驚きすぎて言葉も出ません、東宮さん。
俺はテレパシーで貴方を呼んだ覚えはないですよ!

「アハハ、その様子だと昶の嘘みたいだな」
「当たり前です!」
「だよなー。アイツ、たまに変なこと言うんだよ」

爽やかイケメンさんは眼を細めて笑う。
あ、眼を細めると少し目尻が垂れるんだ……。
なんか大型犬みたいで癒される。

「もしかして、今、誰か待ってる?」
「あ、はい。その、東宮さんを……」
「ということは、オレが連れて行っても大丈夫だな」
「え?」

俺が首を傾げると、爽やかイケメンさんが大きな手で俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
そして、またもや癒されるスマイルを俺に向ける。

「ああ、自己紹介がまだだったか。オレは――」
「光輝!」

廊下の向こうから、東宮さんの声がする。
すると、何故か爽やかイケメンさんが返事をした。

「おお、昶! 遅かったな」
「何でお前がいるんだ」
「まぁまぁ、そう怒らずに」

二人は俺の目の前でそんな会話を始める。
俺は付いていけずにぼんやりとするしかない。
一体、この爽やかイケメンさんは誰なんだ?
俺は恐る恐るそれを訊ねる。

「あの……」
「光輝、コイツが迷惑を掛けたな。すまない」
「いえ、それはいいんですけど……この人は誰なんですか?」
「あ、そうだった!」

爽やかイケメンさんは申し訳なさそうに目尻を下げて苦笑すると、その名を名乗った。

「オレは西宮徹。キミがこれから生活をする寮の寮長だ。よろしくね、榊原光輝くん」

結局、というかやっぱり俺の希望は叶わず、寮長さんもイケメンだった。
でも、優しい人が良いなという希望は多分叶えられたのだろう。
……ところで、一体いつになったら美形以外の人間が現れるの?




to be continued...


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