BOOK

□零度の蕾
7ページ/12ページ







友達なんていらないの。

裏切りなんて辛いだけ。

そんな想い、何度もしなくていいでしょう?

だったら、最初から独りになればいい。





- - - - - - - - - - - - - - -






私の中学時代はそれなりに充実していたはずだった。





「蕾、移動教室だよ。行こう!」




「うん!」





仲のいい友達が居て、





「あ、逢坂さん。
今回の中間テストも良かったわよ。」





「本当ですか!?ありがとうございます!」





「次も期待してるから、頑張ってね。」





「はい!頑張ります!」





先生からの信頼も厚く、
まるで悩みの種もない、そんな毎日が続いていた。





その日常が壊れ始めたのは、友人の一言だった。





「ねぇ、蕾は好きな人って居る?」




女子にありがちな恋の話題。

そんなありきたりなひと言が、私が決意をしたことへの始まりだったのだと思う。



「へっ!?い、居ないよ〜…。」



「本当〜?…私ね、桐咲くんが好きなんだ。」



「そうなの!?」



「うん…。望み高いけど…。」



「そんなことないよ。美南なら大丈夫だって!」




「そう…かな?」




「うん!!私は応援するよ。」




「本当!?ありがと、蕾!」





友達の恋の応援。

恋の相談なんてされたら誰でもそうするはずだ。




「蕾も好きな人が出来たら言ってね。
私は蕾の力になりたいな。だからもっと頼ってよ!」



「うん、ありがとう。」




美南が笑って、私も笑った。

本当に幸せな時間だった。





だけど、この約束はしないほうがよかったと後で後悔することになる。

























そう。

私は美南の好きな人に告白されてしまったのだ。




























なんて迷惑な偶然。





「ごめん…なさい。貴方とは付き合えません。」





私は断った。

美南を裏切るなんてできなかったから。





でも、それだけじゃ終わらなかった。








何故か次の日、その告白はクラス中に広まっていた。


それも、告白をしたのは「私」という噂にありがちな嘘まで付け加えられて。

勿論、広めたのは告白してきた桐咲だった。






絶望した。





当然と言ったように美南には無視をされ、
クラスの女子は全員、美南の味方に着いた。

そして、女子特有の仲間外れと陰口。


男子はそれを面白がるように私を徹底的にいじめた。

女子は美南を男子は桐咲を先頭として
私はクラスの中でいじめられ、密かに孤立していったのだ。





何度も浴びせられる陰口と
何度も課せられる暴力と
何度も何度も繰り返される地獄のような毎日。




限界だった。

日増しに私の中の何かが崩れていった。




そして、それが終わる卒業式の日。

私は卒業証書を抱え、学校を卒業すると同時に
今まで信頼していた友情と、それまでの自分を捨てた。





これが、私が自ら孤立し始めた理由だ。





- - - - - - - - - - - - - - -




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ