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□貴方まであと少し
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憧れて、憧れて。

いつの間にか恋をしていた。



「俺、やろっか。」


「…へ?」


「それ。先生に頼まれたんだろ?」



ふいに話しかけられたことに少し動揺しながらも、
私は自分が持っていたプリントを見つめた。

手には数枚のプリント。

先生から配るよう、頼まれたものだった。



「あ、うん。でも、一人で大丈夫だよ。」


「遠慮すんなって。お前まだ日誌書いてないんだろ?
 これは俺が配っとくから、早く書いちゃえよ。」



そう言って藤崎くんは私の手からプリントを奪った。

一瞬だったけど、手が触れてドキッとする。



「…分かった。ありがとう。」



私はそう、一言呟いて
だんだんと遠くなっていく藤崎くんの姿を見つめていた。





―…時。




「めぐみ、顔真っ赤だよ。」


「!?」



いつから居たのか。

後ろを振り向くと沙由がニヤリといった表情で私を見る。



「話してちょっと手が触れただけでこんなに真っ赤ってことは、告白はまだ先ね。」


「え、あ、告白!?そんなのしないよ!!」


「あーまた紅くなった。ほんと純粋(笑)」


「うっ…。」



沙由の言うことは全部当てはまっていて、なんだか複雑。




私は藤崎くんのことが好きだ。



最初はただの憧れだった。

クラスの中でも中心的な存在で、いつも色んな人と馬鹿騒ぎしてるのに
本当は優しくて、さっきみたいに気遣ってくれる。

そんな彼に、憧れていただけだった。

でも、いつしか彼を目で追うようになり
話せただけで胸が温かくなって
知らぬ間に恋に落ちていた。



「めぐみはもっと自信持っていいんじゃないかな。」



ぼんやりとそんなことを考えていると、
ふいに沙由が意味深なことを言った。



「自信…?どうして?」



「そこまで恋に臆病にならなくてもいいってこと!」



沙由は自信たっぷりに私に笑いかけた。

私はそれでもよく分からなくて、沙由に問いかける。



「臆病…なのかな、私。」



言い終えてから沙由の顔を見る。

すると、なんだか怒っているような険しい顔で、ビクッと体が震えた。



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