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□貴方まであと少し
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「一個質問するけど、めぐみは告白することに対して、どう想ってるの?」



ぴくり、と身体が疼く。

たった一言、
…その沙由の一言が、何故か重く感じた。



告、白。



考えたこともなくて。

私はこのままでいいと思っていた。



崩したくなかった。

告白して何かが変わって…



もし、振られて彼に無視されたらって思うとたまらなく怖かった。




「…怖い。怖いの、私、藤崎くんに振られることが。」




沙由は険しい顔のままだった。

その顔で、私の方をまっすぐ見ていた。



「それが、臆病ってこと。」



やっと沙由の顔が和らぐ。


それを見て私はほっとした。

でも、
沙由の言っている事が正論すぎて
なんだか自分が情けなくなった。



「めぐみは臆病になる理由は分かるよ。
 だって、恋ってそういうものだもん。
 でも、そのままじゃいけない。めぐみは本当にこのままでいいだなんて思ってるの…?」



ふわり、と
沙由の手が私の肩に触れた。



「私はめぐみに幸せになってほしい!
 めぐみは私の大切な親友だから。」



私の目を見て笑った沙由が、とても輝いて見えた。

一瞬、目を疑うようにきらめいた。



大切な親友。

その言葉がいつまでも胸に残った。



沙由はここまで私を想ってくれている。

沙由にとって、私の恋なんて関係ないはずなのに。

こんな、こんな情けない私を応援してくれている。




「沙由…私…、頑張るよ。」




気づけば、私は沙由の目を見てそう言っていた。





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