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□貴方まであと少し
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…とは言ったものの。
すぐに行動に移せない。
藤崎くんに会う機会なら、たくさんある。
でも、会うとどうしても胸が高鳴ってどうしようもなく緊張してしまう。
そして
のろのろと考えているうちに
今日は終わってしまった。
…結局、何もしてない。
「好き、って言うだけなのに」
なんだか無駄に緊張している気がする。
それはきっとそれだけ…
藤崎くんが大好きなのかな---…。
改めてそう思うと
自分で思ったはずなのに、気恥かしくてしょうがなくなってしまう。
「しっかり、…自分。」
パシッと音が鳴るくらいに強く、
自分の意思が揺るがないように、
私は両手で頬を叩いた。
じんじんとした痛み。
緩やかに長く、痛みは続く。
でも、これくらい気合入れないと。
臆病者の私にはこれくらい必要だ!
「…ちょっと強く叩きすぎちゃったかも。」
そんな風に小さく弱音を吐きながら
未だにじんじんと痛む頬をさすった。
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