BOOK

□アイシテル
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その日から少女は家の中での自由を手に入れた。



窓から差し込む光。
温かな衣類に歩くことを許された足。

少女は次第に笑顔を取り戻していった。



そう…


少女は次第にこの空間に慣れていった。



少年は少女の変わっていく様が楽しくて仕方がなかった。

もう少しだ。

もう少しで…辿り着く。


少女はもうこの生活に何の変哲も感じていないのだ。


(後は僕しか考えられないくらいに…)



少年から、無意識に笑みが零れた。



- - - - - - - - - - - - - - - -



その日の夜。


いつものように少女が夕食を作っていたところだった。

当たり前になった少女の仕事。

嫌な顔一つせず、懸命に家事をこなしていく姿は少年の心をさらに奪っていく。



もう、限界だ。



少年はそう思うと同時に、自分の中で理性を保っていた何かが無くなって行くのを感じた。



「…美月」



少年は優しく少女の名を呼んだ。

少女はその声に少し表情を綻ばせて振り向く。

その表情はまた、少年を興奮させていくわけで。



少しずつ歩み寄り、後ろから少女を抱きしめる。

驚いたような表情をする少女。
そして、少女の頬は紅く色付き始めていく。



「お前は僕に、全てを捧げると言ったね?」


少年が耳元でそう囁いてみれば
少女は見事にビクッと身体を震わせる。



「はい…。」



少女が答えたその刹那、少女の視界が急変する。

目の前に見えるのは、少年の顔。



「ごしゅじ…ッ、様?」


「じゃあ勿論…君の身体は、僕のものだよね?」



少年は優しく笑った。

少女は羞恥からふいに目を逸らした。


しかし、少年がそれを許すはずもなく
少女の同意も得ずにその唇を奪う。



「ん…ッ」



乱暴で荒々しい口づけ。

でもどことなく愛のあるキスに少女は酔いしれた。



「はッ…ぁ…ご主人…様…ッ」



「今は…蓮って呼んで」



「蓮…様」



先程より高揚した少女の頬に
少年は何とも言えない感情を得た。



「…いい子だね」



少年は少女を抱きかかえると寝室へ向かった。

そして、少女をベットに寝かせると
今度は優しく短い口づけを落とした。



「愛してるよ、美月」



(これでお前はもう、僕だけしか考えられなくなる…)



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