BOOK
□アイシテル
3ページ/6ページ
その日から少女は家の中での自由を手に入れた。
窓から差し込む光。
温かな衣類に歩くことを許された足。
少女は次第に笑顔を取り戻していった。
そう…
少女は次第にこの空間に慣れていった。
少年は少女の変わっていく様が楽しくて仕方がなかった。
もう少しだ。
もう少しで…辿り着く。
少女はもうこの生活に何の変哲も感じていないのだ。
(後は僕しか考えられないくらいに…)
少年から、無意識に笑みが零れた。
- - - - - - - - - - - - - - - -
その日の夜。
いつものように少女が夕食を作っていたところだった。
当たり前になった少女の仕事。
嫌な顔一つせず、懸命に家事をこなしていく姿は少年の心をさらに奪っていく。
もう、限界だ。
少年はそう思うと同時に、自分の中で理性を保っていた何かが無くなって行くのを感じた。
「…美月」
少年は優しく少女の名を呼んだ。
少女はその声に少し表情を綻ばせて振り向く。
その表情はまた、少年を興奮させていくわけで。
少しずつ歩み寄り、後ろから少女を抱きしめる。
驚いたような表情をする少女。
そして、少女の頬は紅く色付き始めていく。
「お前は僕に、全てを捧げると言ったね?」
少年が耳元でそう囁いてみれば
少女は見事にビクッと身体を震わせる。
「はい…。」
少女が答えたその刹那、少女の視界が急変する。
目の前に見えるのは、少年の顔。
「ごしゅじ…ッ、様?」
「じゃあ勿論…君の身体は、僕のものだよね?」
少年は優しく笑った。
少女は羞恥からふいに目を逸らした。
しかし、少年がそれを許すはずもなく
少女の同意も得ずにその唇を奪う。
「ん…ッ」
乱暴で荒々しい口づけ。
でもどことなく愛のあるキスに少女は酔いしれた。
「はッ…ぁ…ご主人…様…ッ」
「今は…蓮って呼んで」
「蓮…様」
先程より高揚した少女の頬に
少年は何とも言えない感情を得た。
「…いい子だね」
少年は少女を抱きかかえると寝室へ向かった。
そして、少女をベットに寝かせると
今度は優しく短い口づけを落とした。
「愛してるよ、美月」
(これでお前はもう、僕だけしか考えられなくなる…)
.