ショート・ショート

□lasting
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「お疲れ様。パソコンはまだ使う?」
そんなことしか言えない私は、とてももどかしかった。
「ああ、出来れば」
「そう……」
「暇潰しにはちょうどいいんだ。出来れば死ぬまで持っていたい。」
このパソコンを持ち込むのも、医者や病院には無理を言って実現している。だから、出来るだけ早く片付けたほうがいい。

だが、彼の目は真剣そのものだった。
----まだ何か、果たすべき目的があるのだろうか。
それは単なる暇潰しなど比にもならないほど重要な目的であるに違いない。

「医者に頼み込んでみる」
と私は答えていた。
なんとかして医者の許可を取りつけると、彼はとても幸せそうな、満面の笑みでこう言った。
「ありがとう」




それから1週間後----
彼は、天に召された。
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