Web Clap
□お姫ちゃまのひみつ
1ページ/8ページ
「チエさん、今日お姫ちゃまを借りてもいいですか?」
リカがそう言ったのはとある休演日前の火曜日。
表情も口調もいつものまんまやったけど、何となく切なげな感じがしてまじまじと顔を覗き込んでもうた。
「何?何か付いてます?」
「えっ?いや、ちゃうねんけど…」
「いいですか?お姫ちゃま」
「…話すん?」
「お姫ちゃまには発表になる前に話しておきたいんです」
「うん」
「でないと卒倒してチエさんが大変になっちゃうでしょ?」
「…怖いこと言わんとってよ。ありえる話やけど」
「でしょ?だから。明日は休演日だし、多少泣いても…ねっ?」
泣くやろうなぁー。
むっちゃ泣くと思うわ。
号泣して、手ぇ付けられへんのとちゃうやろか?
そう思ったら言わずにいられへんかった。
「リカだけで大丈夫なん?チエも行こか?」
「ダメぇ!」
リカは悪戯っぽく笑って言った。
.