子育て奮闘記

□サプライズ
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咲が学校へ通い出して三ヶ月。

最初の頃は

咲が居ない事に

俺も緋哉も真哉も馴れなくて

咲が家を出て行こうとすると

必ず 二人は火がついたように泣き出して

「ねーちゃ いやあー」

「ましゃもいくうー」

ごね出して

「お姉ちゃん学校終わったら、すぐ帰って来るからね。いい子にしててね」



咲が言うと

「はい」

「いい子しゅる」

必死で涙を堪えて

小さな手を振って見送る。


咲の姿が見えなくなると

また

「ねーちゃあ…」

「うわぁん」

泣き出す始末…。


「いい子にしてるって、姉ちゃんと約束したんだろ?」

「した」

「いい子しゅる」

「だったら、泣かずにご飯たべなきゃな。」

重くなった双子を両腕で抱えて笑って言うと

「ひしゃ いい子だから ごはんたべりゅ。」

「ましゃもいい子!」

必死で訴えてるけど

まだ まともに言葉を話せない双子。

咲が三歳の頃は

ルキアが厳しく躾てたから

異様にしゃべりがしっかりしてて

こんな風には思わなかったけど…

「ひしゃ ごはんたくしゃんたべりゅ」

「ましゃもね いーっぱいたべちぇ おーっきくなりゅ!」

たまんねぇ…

なんなんだよこの可愛さは!!

はんぱねぇ…。

なんて親ばか丸出しの考えをしながら

二人を席に座らせて朝飯を食べさせる。

まだ 上手に食べれねぇから

フォローをしながら
かつ

自分の飯も食いながらのこの作業。

今までは、咲が居てくれたから

分担してやってたけど…。



ここで俺も咲が居ない事に強烈な寂しさを感じる。

「咲が産まれて六年とちょっと…。マジ離れた事ねぇしな…。」

そうやって寂しさを感じる瞬間が

日が経つにつれ

日常にもそれが普通だと思いだしてくると

だんだんと馴れてきて

「いってきまーす。」

「「いってらっちゃい」」

緋哉も真哉も泣くことなく

笑顔で見送るようになった。
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