短いの

□独占欲
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最近 乱菊さん達から酒の誘いがねぇ。

現世への任務も無いし、隊舎と家を往復するだけだ。

「なんか つまんねぇな…。」

仕事を終えた帰り道。

ふと呟いて道の先を見ると

「先輩!吉良!」

こちらも仕事が終わったばかりであろう

二人を見付けて駆け寄った。

「おう。久しぶりだな。」

檜佐木先輩は、いつもの優しい笑顔で言ってくれたんだけど

吉良は、辺りをキョロキョロ見渡して
なにやら警戒しているようだ…

「どうした?」

俺の問いかけに

「いや…なんでもないよ。」

明らかに笑顔がぎこちねぇんだけど?

まあいいや

「俺 暇なんスけど、これから呑みに行きませんか?」

様子のおかしい吉良を無視して、先輩に誘いをかけた。

だけど、先輩はいきなり顔をひきつらせて

「い…いや、悪いんだけど、今日は生憎都合悪いんだ。」

と 断られた。

「そうですか…。
じゃあ吉良は?」

すぐ隣の吉良に話をふったら

「いや、僕も都合悪くて…ごめんね。」

………

おかしい。

いや、この二人だけじゃねぇ

一角さんや弓親さんも、誘っても断られる。

しかも

皆して顔をひきつらせるんだ。

なんだっつーんだ?
俺なんかしたか?

二人に断られて落ち込んでた俺に

「お前 この頃だれとも遊んでねぇだろ。」

先輩が、軽くため息混じりでそう言った。

「なんで分かるんスか?」

現世行かねぇから、一護とも遊んでねぇし

ルキアだって、最近会わねぇ。

「いつからか覚えてるか?」

先輩の質問に、最後に遊んだのはいつだったか思い出そうとした。

「う〜ん…。」

懸命に頭を振り絞って考えていると

「何をしている、恋次。」

背後から聞き慣れた声が俺を呼んだ。

振り向くと

「朽木隊長。」

ん?なんか、霊圧が冷たいような?

「家に帰っている筈ではないのか?」

能面のように無表情な隊長だけど、徐々に霊圧が強くなっている。

「先輩達と少し話をしてたんです。」

「ほう…」

おれの答えに隊長は、先輩と吉良を見た。

「俺らただ話をしてただけです!」

なんでそんなに慌てて弁明してんだ?

吉良なんて、顔青ざめて固まってるし…

「ならばよい。」

隊長は、一言そう言うと

「ぬわ!?」

俺の襟元を掴んで、そのまま歩き出した。

「ちょっ、隊長!いてぇっスよ!」

ズルズル引っ張られて行く俺を

先輩と吉良は、哀れみの目で見送っていた。
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