子育て奮闘記

□咲の涙
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二人目を授かって半年余り

今回は、つわりも酷くなかったし

やっぱ 経験してるからか、気持ちも体も余裕がある。

腹がでかくなって、身動き取りずれぇけど…

まあ その辺は、恋次やルキアがフォローしてくれるから問題ない。

問題あるのは…

咲の方だ。

「ねぇママ、さきいつになったらおねえちゃんになれるの?」

ソファーに座ってた俺の横にちょこんと座って

何処で教えてもらったんだか

上目遣いで俺を見て言う咲に

「赤ちゃんが産まれたらって言っただろ?」

自分の膨らんだ腹を撫でながら答えてやった。

すると

咲はソファーの上に立ち上がって

「いま うんで!」

両手を握りしめて叫びやがった。

咲の顔の高さと、俺の耳の位置がちょうど同じだったから

咲の大声をまともに耳にくらった俺は

一瞬 クラっとした。

加減っつーもんを知らねぇからな…

「まだ赤ちゃんが大きくなってねぇから、今は無理だ。」

そうやって説明してやっても

「やだ!まてない!いま うんで!」

またしても

耳元で叫ばれた…。

そう

なんか最近

聞き分けの良かった咲が

全然言うことをきいてくれなくなったんだ…

しかも 俺限定。

「だから、大きくなってねぇ赤ちゃんを産めねぇって言っただろ?」

咲の両肩を軽く掴んで、顔を見合わせてもう一度同じ事を言ったら

「ママのばか!」

「はあ!?」

力いっぱいに叫んで、俺の両手を払いのけた咲は

「ばかばかばか――!!」



連呼しながら自分の部屋へ走って行った。

「おい!咲!」

腹のでかい俺は、咄嗟には動けなくて

走って行く咲を直ぐに追うことができず

追いついた時には

ドアに鍵が掛けられていた…

やるじゃねぇか三歳児…。

つーか、なんなんだよ

最近の咲のこの態度。

恋次が居る時は、いつもと変わりねぇのに

俺と二人っきりになった時だけ

駄々っ子になるわ、甘えん坊になるわ…

「手におえねぇ…。」

思い切って、恋次に相談してみるかな…。
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