▼デュラララ BL連載

□第四章
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池袋をうろつく男が一人。

決して探すことのない人物を探しながら。

バーテンダー、金髪、グラサン・・・。

あれか?

田中トムという男の隣をゆらゆら歩くアイツ。

「でよ、静雄―――」

トムは静雄に話かける。

静雄はそんな上司に今までに見たことのない顔で笑っている。

フフッ、ちょっかい出すか・・・。

「あれぇ?シズちゃん、デートかな?いいねぇーww」

淡々と言葉を繰り出し、静雄をいじめてみる。

「・・・っ!」

静雄はビクッと肩を震わせ、臨也の顔を見る。

「フフッ、シズちゃーん?何そんなに怯えてんのさ?あぁ、もしかして俺が怖くなったとか?それはそれで面白いなぁww」

静雄は標識を引っこ抜いた。

・・・へ?

「いーざーやーくんよぉ、だまぁあって聞いてりゃ・・・」

「ぇ、ちょ、待」

「どーやら俺に殺されてぇらしいなぁ!!」

静雄は標識を振り下ろした。

「嬉しいぜぇ!!臨也君よぉ!!」

・・・やっぱりあの時の静雄は頭がおかしくなっていたらしい。

今の静雄はいかにも静雄らしいではないか。

「待ちやがれぇええええ!!!!」



路地裏。

臨也はついに静雄に追い詰められた。

臨也の息遣いと、静雄の笑い声だけが響く。

と、静雄が辺りを見回した。

誰もいないことを確認すると、静雄は臨也を起こした。

「・・・何?どういう風の吹き回しかなぁ・・・」

静雄は臨也に抱きついた。

「・・・っ!?は、離せ!!」

「臨也・・・」

静雄は臨也の耳元で囁く。

背筋がゾクッとした。

「離せ・・・っ!!」

「臨也・・・」

静雄は臨也を離そうとしない。

「臨也・・・俺・・・」

静雄は体をカタカタと震わせる。

「俺・・・・っ臨也が・・・」

「・・・シ・・・ズちゃ・・・ん?」

こんなに弱った静雄を見るのは初めてだ。

しかし臨也はこんな静雄を突き離した。

「な、何なの!?俺をノミ蟲呼ばわりして、今は俺に抱きついて、そんな姿見せて・・・!!」

情けない、という言葉を臨也は飲み込んだ。

静雄は・・・泣いていた。

「・・・っシズちゃん!!俺を殺そうと怪物に近い勢いで追ってきたシズちゃんは何処言ったの!?」

静雄はやはり頭がおかしくなったみたいだ。

この前のことといい、今現状に起こっていることといい・・・。

「シズ・・・ちゃん・・・」

そんな静雄を・・・臨也は何故か抱きしめていた。

そんな行動に静雄も、臨也自身も驚いている。

「こんな・・・シズちゃん・・・見たくない」

静雄の髪に艶かしい指を臨也は滑らす。

「い・・・ざや・・・っぁ・・・!!」

路地裏には静雄の静かな泣き声と、ただ黙って静雄の髪をなでる臨也だけがいた。




            −続−

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