▼デュラララ BL連載

□第六章
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臨也独自でゲームを開始して翌日。

臨也は静雄に会いに行くため、池袋をふらふら歩いた。

―まぁ、電話で呼び出そうかな。

わくわくした感情を押し殺して、静雄の携帯に電話をかける。

すると、静雄は出た。

「シズちゃん?」

『・・・何だよ』

「ちょっと今日話しがあるんだけど・・・いいかな?」

『・・・仕事が終わったら』

「うん、わかったよ。待ってるから」

じゃあ、また後で。

そう言い合って互いに電話を切った。

臨也は駅のホームで一人笑った。

―本当にシズちゃんは単細胞だ。

そう思うと笑いがこみ上げ、抑えれなくなった。

「・・・っふふ・・・」

一度漏れた声はもう止まることはない。

「・・・っふふ・・・ぁはっ・・・!!」

ホームには臨也の笑い声が響き、駅員から不審な目で見られる。

「あはははははっ!!!!」

「・・・臨也・・・っ!!」

後ろから静雄が声をかけた。

「シズちゃん・・・っ」

臨也は静雄に抱きつく。

静雄は驚きが隠せなかったようであわて始める。

「シズちゃん、話は俺ん家でしよ?」

「・・・仕事も終わったし、いいか」




「シズちゃん・・・」

臨也は静雄から一向に離れない。

静雄もこの状態に慣れたのか何も言わなかった。

「で?話ってのは・・・」

「・・・昨日ね、俺、思ったんだ」

静雄は昨日の記憶が甦ったのか、あぁ、と呟く。

「・・・俺、シズちゃんが嫌い」

『好き』ではなく、あえての『嫌い』。

「・・・どうして?」

静雄は少し声が弱まる。

「・・・嫌いだから。嫌いなものは嫌い。嫌いだ、シズちゃんなんて」

『嫌い』という言葉を連呼し、静雄を惑わせる。

「・・・離してよ、嫌いなら」

・・・口調が変った。

もう少しだ。

「嫌」

「・・・離して・・・っ」

「嫌」

「・・・は・・・なして・・・っ」

「嫌」

静雄は何とか離そうとするが、臨也は引き下がらない。

「嫌いなら・・・なんで離れないんだよ・・・」

もう少し。

「ん?」

わざと臨也はとぼける。

「だって・・・」

臨也はふふっと笑うと、静雄に口付けた。

「んぅっ・・・」

静雄を麻痺させ、口内に舌を忍ばせる。

歯列をなぞり、口内を犯した。

二人の間に糸がひいた。

「・・・俺は今のシズちゃんが好き」

「・・・ぇ?それって・・・どういう・・・」

「だーかーらー、乱暴なシズちゃんは嫌い。今のビクビクしてるシズちゃんは大好き」

静雄はやっと意味を理解したのか、笑った。

「・・・そういう・・・意味だったんだ・・・」

「で?シズちゃんは俺のこと好きなの?」

「好き」

静雄は笑った。

臨也の偽りの『好き』を静雄はすぐに信じた。

それでこそ静雄らしい。

「でもねー。乱暴なシズちゃんは嫌いだからねー」

臨也は悪戯な笑みを深めた。

「・・・シズちゃんは俺に好かれたい?嫌われたい?」

次の静雄の答えで全てが決まる。

一向に答えを出さない静雄の頬に臨也は手を置いて、顔の距離を縮めながら見つめる。

「さぁ、言って・・・?」

「俺は・・・」

静雄は頬を染めながら、唇をギュッとかみ締める。

「・・・す、好かれ・・・たい・・・」

―手に入れた。

臨也はゲームの勝利に喜んだ。

「じゃあ、俺の前では臆病なシズちゃんでいてくれるね?」

静雄は笑いながら頷いた。

勝利、勝利、と臨也の頭の中で響いた。

しかし、臨也は肝心なことを一つ忘れていた。

後のことを・・・。

臨也はどんどん静雄に虜になることは彼自身も誰も知る由もない。




            −続−

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