▼LD1 短編

□IdiotF
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――CR:5本部


「ハァイこちらCR:5〜ご注文はお決まりですかァ」
ふざけた俺の電話の応答にベルナルドが苦笑いするのが見えた。
「は、はぁ…GDのお偉い様がわざわざお電話を…どんな御用で?」
"GD"のワードにヒットした幹部共が俺の机を取り囲む。ぴりっと場が緊張した。
「ん?何々?…『ボスがこっちに来――」
「ウッラァアアァアアアア!どけどけ邪魔だこのフニャチンマカロニサラダ共ォオオオォオ!」
耳を劈く破壊音に俺は思わず受話器を取り落す。この声はまさか――。
「ば、バクシー!?」
デカさがグレードアップしたショットガンを肩に担いだバクシーが土埃を巻き上げながら部屋に乱入した。そしてそのままガムを吐き捨てる。
「オウオウ相変わらずファッキンな平和ボケランドじゃねぇのここはァ!舐め腐ってんのかジーザス!」
たまたまそこにいたイヴァンの兵隊の一人の胸倉を掴んで顔面に唾を吐くバクシーに我に返ったイヴァンは怒声を上げて銃を構える。
「ば、バクシー離してやれって。何なのどうしたの、襲撃?いきなり過ぎて漏らしちゃうワヨ」
場の尋常じゃない空気に俺は仲介役として割り込む。するとバクシーはニタリと笑って俺の腰を掴んで引き寄せた。
「忘れモンした」
「は?忘れモン?…万年筆の次はナニ?」
バクシーは俺の耳に唇を寄せて周りには聞こえない低い声で言った。
「オメーさんの寝室にンなモン落ちてたぜ?」
長い爪と爪の間に挟んで俺の目の前に突き付けてきたのは――あの日バクシーのアレに嵌めてやろうと思っていたゴム、だった。俺は顔が熱くなって慌ててそれを奪い取る。
「ばか!な、なななな、何、何持ってきて…ッ!」
「それ、今日の夜使うからヨ。覚悟して穴おっ広げとけ?お嬢チャン」
ニタァ、と笑って身体を離すバクシー。俺はわなわなと震えてそいつの顔面に平手打ちを――と企んだところで奴は窓を叩き割って逃げやがった。
「ジャン!大丈夫か、けがは…!」
心配して駆け寄って来るベルナルドに構いもせず、俺は天に向かって叫んだ。

「あンの…キチガイ変態野郎がァアアアアアアアアァ!!」


Fin.

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