リクエスト

□Midnight Sleepless
1ページ/3ページ


「ねぇふどお?」

あぁ、また来たか。
今度は何だ?

「源田はどこ?」
「アイツなら自分の部屋で寝てるんじゃねぇの?」
「ふぅん」

自分から聞いて来たくせにその反応は何だよ。

「ふどー」
「んだよ」
「きどうさんは?」

なぁ佐久間、頼むからそんな顔しないでくれよ。
オレは何度その答えの決まりきった問いに答えなきゃいけないんだ?

「鬼道はいない」
「どうして?」
「鬼道はお前を置いて行ったから」

何でお前はいつも泣きそうなのに泣かないんだよ?
お前が泣いて泣いて泣き喚くような奴だったら、オレだって簡単にお前を殴ったり出来たのに。
お前は恐ろしいくらい従順だ。

「ふどー、眠れない」
「じゃあ一緒に寝るか?」
「そうじゃない。
 眠れないんだよ、不動。
 もうオレは眠りたいのに、眠らせてくれないんだ」
「…面倒くせぇなぁ。
 じゃあ、オレも一緒に起きててやるよ」

お前が眠りにつけるまで。


――――――――――――――
――――――


「、ど…ふど…不動!!」
「っ!!」

飛び起きればそこはもういい加減見飽きた宿舎。
そうか、今はFFIの最中だったな。

「やっと起きた」

目の前にいるソイツは、黒と赤の右目をオレに向けながらケタケタと嗤う。
眼帯をしていない時のコイツは危険だ。
下手に扱えば何をするかわからない。

「…眠れないのか?」
「うん。
 ねぇふどお、いっしょにあそぼ」
「…何して?」
「んー、何にしよっかな?」

小さい子供のようにはしゃぐ佐久間は、持っていたカッターを玩具のように弄っている。
今日はそれで遊びたいのか。
あー眠い眠い。

「ふどーは何したい?」

本音を言えば寝たい。
現在夜中の2時過ぎだ、眠い。

「オレはお前のしたい事するから、お前が考えろ」
「じゃあねぇ…」

佐久間がオレに近づいて来る。
あ、これはちょっとヤバいかも。

「佐久間?」
「オレはね、不動。
 きどうさんに、オレがどれだけ痛かったかわかってほしいんだ。
 でもきどうさんはオレの事、全然わかってくれない。
 ねぇ不動、どうしたらいいかな?」

オレもどうしたらいいかわからない。
目の前で泣きそうな声で笑うお前を、どうやったら助けてやれるのかわからない。

(なぁ佐久間、お前はもう、眠れない夜を過ごさなくていいはずなんだ。
 なのにどうして眠ってくれないんだよ?)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ