G×S

□約束
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オレとジローはずっといっしょだった。
なにをするのもいっしょ。
がっこーにいくのも、サッカーするのも。
ジローはオレを"こうちゃん"ってよんでた。
オレのなまえが"こうじろう"だから。
だからオレもジローってよんでた。
ジローはオレたちいがいに、"ジロー"ってよばせなかったし、オレもジローいがいには"こうちゃん"ってよんでほしくなかった。
オレたちはしんゆーだった。
それはずぅっとかわらないとおもってた。

でも、ある日ジローがアキオってヤツに会ったんだ。
ジローはたのしそうにアキオのことをオレに話してくれた。
それからは、ジローは毎日アキオとあそぶために、とちゅうからちがう道を行くようになった。
ジローといっしょにかえる、かえりみちがオレは大好きなのに、それがみじかくなっちゃうんだ。
でも、ジローはすごくたのしそうだし、オレにもいっしょに行こうって言ってくれた。
オレはジローが大好きだ。
やさしいし、かわいい。
ジローは、かわいいって言うと、すぐおこるけど、おこったジローもすごくかわいい。
でも"しばらくあそべない"って言うと、ジローはシュンとかなしそうに下を向いた。
オレは、かなしそうなジローは好きじゃない。
大好きなジローが見たいから、オレは"いつか3人であそぼう"って約束した。
そしたら、ジローがすごくうれしそうに"うん"って言ってくれた。
オレとジローとアキオ。
いつか3人で、大好きなサッカーができるとおもってた。
なのに…

次郎は大ケガして入院した。
なんでケガしたのか、母さんは教えてくれなかった。
ケガが原因で、次郎はいろんな事を忘れてしまった。
自分のかぞくの事、オレを幸ちゃんって呼んでた事。
それと…アキオの事。
その日から、次郎はオレを"源田"って呼ぶようになった。
オレも気づいたら"佐久間"って呼んでた。
次郎は退院しても、全部は思い出せなかったけど、それでもオレは次郎の親友だとわかってくれた。
今でも次郎はアキオの事を思い出せてない。
アキオも、あれから次郎と会ってないみたいだし…。
どうしたんだろ?
でも…次郎が入院してる時、毎日次郎の部屋に1つずつ置かれていたあのオリヅルは、多分アキオが持って来てたんだと思う。
お世辞にも綺麗に折れてるとは言えない、ぐにゃぐにゃなツルだったけど、次郎の事を想って作ってくれてた。
そのツル達は、次郎が全部大切に持ってる。

無事に小学校を卒業したオレと佐久間は、帝国学園に入学した。
サッカーの名門校に、オレ達の実力が認められ、スカウトされたんだ。
帝国学園サッカー部で、小学校の時に転校していた渡と修二に会った。
佐久間は2人を覚えてなかったけど、2人は何も言わず、佐久間を受け入れてくれた。
それから、鬼道とも仲良くなり、オレ達はサッカー部のレギュラーになった。
佐久間はFW、オレはGKだ。
鬼道はオレ達の事を「正反対だが、同じ2人」と言っていた。
ゴールを守るオレと、ゴールを攻める佐久間。
勝利という同じ目的で、オレ達は動いているのに、役目が正反対だかららしい。
そう言われるのは嫌じゃなかった。

帝国学園が世宇子中に敗れたオレ達は、不動明王と名乗る人物にスカウトされ、オレ達を捨てた鬼道に復讐するために真・帝国学園に行った。
そこでエイリア石という紫に光る石を渡され、その石に触れると、不思議と力がどんどん溢れてきた。
不動は佐久間に"皇帝ペンギン1号"を、オレに"ビーストファング"を使えるようになれと言ってきた。
鬼道に勝つために、鬼道を超えるために…。
そして、"皇帝ペンギン1号"をなかなか使いこなせない佐久間を、不動は容赦無く傷つけた。
助けたくても助けられないオレの目の前で。
でも佐久間を真・帝国学園に連れて来たのはオレだ。
「もう止めろ」と言う資格は、オレには無い。

真・帝国学園の後、奇跡的に手術が成功したオレ達はリハビリのおかげで、無事帝国学園サッカー部に復帰出来た。
皆と普通にサッカー出来る事が嬉しくてたまらなかった。
オレ達は今まで以上に努力して、真・帝国学園に行く以前くらいまで回復した。
特に佐久間は、真・帝国学園なんて無かったかのように、サッカーに打ち込んでいた。
そんな佐久間が、FFIの選考試合に選ばれた。
オレ達は佐久間を心から祝福し、試合当日は皆で観戦に行った。
佐久間は選ばれなかったが、鬼道はイナズマジャパンの選手になった。
選考試合の後、佐久間は「メンバーの入れ替えがあるから、まだ可能性はある」と、すごい勢いで特訓していた。
ここだけの話しだが、佐久間がメンバーに選ばれなかった時、少しほっとした自分がいた。
佐久間と離れなくてよかったから。
だから、前向きに頑張る佐久間を見てると、応援したくなるけど、同時に行かないでほしいと思ってしまった。
イナズマジャパンにはあの不動だっていたし、何より、オレの側にいてほしかったから。

FFI本選直前にあったメンバー入れ替えで、佐久間がイナズマジャパンのメンバーに選ばれた。
嬉しくもあり、寂しくもあった。
当分、佐久間とは会えなくなる。
だが、テレビ中継で映し出される佐久間の姿を見てると、行かないでほしいと思っていた自分が馬鹿らしくなった。
佐久間は自分の精一杯の力で頑張っているのに、オレの都合でそう思った事が情けない。
そんな自分が嫌になる。
佐久間には、優勝してほしい。
そして帰って来たら佐久間の身体を思いっ切り抱きしめて、「おかえり、優勝おめでとう」と言うんだ。
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