テイルズ小説
□星と共に君を待つ
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先に長編(短いけど)ユリフレを読んでからの方がより楽しめます^^;
話は続編になってるので・・・。
『星と共に君を待つ』
15年前の下町。
大きな木の下に、2つの小さな影があった。
ユーリ、フレン10歳。
空は輝く星で埋めつくされていた。
「ねえユーリ」
「なんだよフレン」
「いつか、僕たちが大人になって離れ離れになっても……そうだ、15年後にまたここで会おう!」
「15年後か…オレ達は25って事になるな。」
「うん…。で、約束してくれる?15年後の今日に、ここで会うって。」
「ん……約束する。」
* * *
現在、下町の入口。
フレン、25歳。
(そういや、17の時……25歳のユーリが現れたっけ……)
未来から来たといったユーリ。明らかに年上で、露骨に大人で、そして自分が恋をした本当の相手で。
あの時、ユーリは僕にこう言ったんだ。
『未来に繋がる道は一つ』と。
25になった今、その意味がようやく解った。
あの時の君に会えるんだ。
25の、僕の恋した……君に。
待てど、待てども目に映るのは星屑ばかり。
この手に収まりそうで入らない。
(まるでユーリ、君のようだ)
フレンは思った。
掴めない。
見ているだけで輝かしく、艶やかで美しい。
しかし彼は捕まらずに、逃げもせず。
隠れないのに隠された存在で、それでも目をひく何か。
人の役に立ちたいのか、どうでもいいのか。
正義なのか悪なのか。
(いや……結局ユーリは正しかったんだろうな。)
ふとため息をつくと、既に星はくっきりと形をつくっていて、その土台は漆黒に染まっていた。
ユーリが来ない。
なぜ?
やっぱり15年も前の約束なんて忘れてしまったのだろうか。
(自分ばっかり……はしゃぎすぎてたかな。)
「もう、帰ろうか……」
会えない?
……会いたいよ、君に。
あの時の………君に…
「なんで帰んだ?ちっとぐらい会話させてくれよな」
「……!!?ユーリ……!」
「よぉフレン、」
「あ…ぁ、?何で……」
「おい、まさかオレが約束忘れたとか思ってねぇだろうな?」
「だってユーリ……君、……」
「ちゃんと約束は守ったぜ」
フレンはユーリの肩に頭を乗せて、は、とため息をついた。
「来てくれてありがとう…………好きだ。」
「……ははっ、つまりはあの時言った事が理解できたって事か?」
「……やっぱり今の君はあの時の…」
「ああ。まあ、直後だけどな。で、めでたくオレ達は恋人ってわけだ。だからまた会えるって……“未来に繋がる道は一つ”って、な。」
「最初っからそのつもりだったんだな…」
フレンがため息をつくと、ユーリは悪戯な目を向けていった。
「でもやっぱ、あの頃の方が可愛かったなぁフレン。」
「なっ……!?」
「あー嘘うそ。平気だって、今のフレンだってすげーかわいい。」
「っ……!!僕はそういう事を言ってるんじゃないっ…!」
照れつつも、大好きなユーリとの会話は楽しかった。
あれだけ会いたいと望んだ今のユーリ。
近くにいるんだ、こんなに。
(きっと手を伸ばせば―――)
フレンは、ユーリの首に軽く手を添えた。
解る。
(――――届く。)
「大好きだ。」
ちゃんと届いてる。
あの頃の僕にとって星だった、今の君に。
end