ONE PIECE 原作story

□冬だから
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冬だから。
料理と洗濯、掃除・・・。
使い過ぎた手は皮膚が裂け血が滲む。
ボロボロになった手は仲間のために頑張っている俺の誇りではあるけれど・・・他人に見せたくはない代物で・・・この時期になると他人の視線をより意識するようになる。

「ふぅ・・・」
誇りではあるけれど、見るたびにため息がこぼれる。痛む手は誰にも気づかれないようにいつも隠してはいるけれど・・・。
「おい」
「っ?!・・・なんだよ」
まったくヤツの気配に気付けなかった。
緑色の珍しい髪色のヤツ。
「水」
俺以外のやつにはもっと話しかけるくせして俺には愛想なんて全く見当たらない。思わずため息がこぼれてしまいヤツの視線を感じれば顔を上げる。
「なんだよ?睨むなっての」
「・・・怪我したのか?」
「は、はぁ?」
何なんだよ・・・っ?!動揺を押し隠して怪訝そうにヤツを見ればヤツは不愉快そうに眉を寄せてやがった。
「血の匂いがする」
「・・・獣かよ」
鋭いというよりも獣というのがぴったりのセリフにため息が出る。
「怪我したのか?」
「・・・さっき魚を捌いたからその匂いだ」
こんな誤魔化し方でどうにかなる相手だといいけどな・・・。苦笑しながら相手の反応を伺っていれば頷かれた。
「それならいい」
「・・・・・・」
何も言えないでいるとヤツはキッチンを出て行ってしまった。
「・・・なんなんだよ・・・」
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