お題
□僕がきみの手を5題
1ページ/2ページ
「おい、そこで寝ていると風邪を引くぞ」
とんとんと軽く肩を叩かれうっすら目を開けると、立ったまま俺を覗き込む梗。
「梗は見回りか?」
「いや、別に……元がいなかったから」
その言葉に笑みが浮かびそうになる。
時たま見える、梗の人恋しいという感情
本人は無自覚だけどさ
「梗も寝ようぜ」
「は?ぅわ」
グッと手を取って引っ張ると、とさりと隣に座り込む梗。
「風邪を引くと言っただろう」
「くっつけば暖かいって」
握った手はそのままに抱きしめる。
少し香ったシャンプーと、梗の体温に心臓が高鳴る。
うわ〜、俺自滅?
そう思いながら梗を見れば、目元を赤くして俺を見てる。
あー、可愛い、俺だけが知る梗
キュッと微かに力の入った梗の手を思いっきり握り返したのは、
言葉にならなかったからで、
(愛しすぎる君に俺はもう胸がいっぱい)
「元、手………」
「これなら風邪引かないだろ?」
「…馬鹿だな」
(言葉にするには重すぎて)
(でも手を握るだけじゃ足りない)
言葉にならないほどの君への気持ち