SkyFeather&Future
□No.6 一匹狼
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「ぎゃあああ! 助けてくれぇ!!」
「逃がすか……!」
真夜中の旭ノ原の街。
……いや、正確に言えば街ではなく人気のない路地裏。
男は助けを求めるが如く全力で狭い道を走り抜ける。
……しかし俺はそれを逃がそうとはしない。
「わ、わかったから……許してくれ! だから命は……命だけはッ!」
「黙れ」
ザシュッ……という鈍い音が嫌でも耳に入る。
畜生、なんて不快な音だ。
汚らわしい。
珍しく俺は返り血を浴びなかった。
しかし目線を下げれば赤色の池が広がっている。
何なんだ一体。
気持ち悪い。
どうして“人間のクズ”は外見も内面も汚いのだろうか。
俺にはどうしても理解できない。
どうして他者に迷惑をかけて生きていると知っているのならなぜ命がある?
真面目に生きている人間はどうなんだ。
そんなに他人を犠牲にしてまで幸せになろうとする?
邪魔なのか? 他の人間が?
いらないのか……?
コノオレモ……?
そう思うと本当に腸が煮えくり返る気分だ。
俺はそのまま傷口を広げてやろうかと思ったが生憎俺はそのような趣味の悪い人間として生きてきた覚えはない。
何よりここから立ち去りたかった。
俺は無様な姿を晒している男を睨みつけてこう吐き捨てた。
「お前みたいなクズが幸せになれると思うな」
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