SkyFeather&Future

□No.7 安らぎ
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「おーい、おーい?」

頭に誰かの声が響く。
内心、うるさいな、と思いながら重い瞼をゆっくり開ける。
急にうるさい電灯の灯りに目が眩んだ。

「おーい、大丈夫かい? ぐったりしてたけど?」

視線を上げると声の主だと思われる男性が目に入った。
今時のウルフカットで眼鏡を掛けている、男性が。
しかし服のセンスはお世辞にも良いとは言えない。
中のTシャツの絵がそれを物語っている。

「あ、すんません」
「少し顔色悪いよ? でも熱ある訳じゃないしなぁ」
「すいません、迷惑かけちゃって」
「いいの、いいの。ところでどうしてそこでぐったりしてたんだい?」
「ちょっとバイトで疲れてコーヒー飲んでたらそうなっちゃったみたいです」

よくよく思考を巡らせたらここはファストフードの店の長いテーブルだ。
高い丸椅子の。
俺はそこで知らない間に……。

「そうか、道理で疲れた顔してたのか。よし、今から送ってってあげようか」
「え!? いいですよ! そんな!!」

心配してくれるのはありがたいが送ってもらうのは気が引ける。
しかも知らない人に。
ましてやユキナの時、断ったのに送ってもらうのは……。
とは言っても寝起きで余計具合が悪い。
俺はおとなしく男性と目を合わせた。

「何か色々すんません。俺、紅藍十也っていいます」
「おっ、自己紹介するなんて偉いねぇ。お兄さんは富良野保、よろしくね十也くん」

富良野……?
フランと同じ名字だ。
確か3人兄弟とか言ってたな。
もしかして……!

「あの、富良野さん?」
「ん?」
「もしかして、妹いらっしゃいません? 2人くらいは」
「何で知ってるの?」
「俺、フラ……富良野恋さんと同じ学校で同じバイト先なんですよ」

それを聞いた彼は突然、目を輝かせて俺の手を握った。

「恋!? フランのお友達かい!? おおお! 本当によろしく!!」
「はっ、はぁ……」
「それと、富良野さんじゃなくてフラボノでいいからね!!」
「ああ、はい……」

異常なまでのテンションの高さに翻弄される。
余計に疲れたが悪い疲れではないと俺は思う。
俺はフラボノさんの肩に捕まって、ゆっくり立ち上がった。

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