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ツナ夢
『え、ツナ君が特訓?!』
学校も終わり、一緒にケーキを食べようと約束しといた学年一のアイドル、京子ちゃんと私はナミモリーヌにいた。もうすぐ三年に上がるというこの冬。最近また同じクラスのツナ君の姿が見えないことを気にしていれば、京子ちゃんが天使の如く可愛らしい笑みを浮かべて教えてくれた。
あそこのハチャメチャぶりは一応知ってるし、特訓だってどうせリボーン君絡みなんだろうけど…それでまた学校休んでるとか。
「そうみたい。この前ハルちゃんに聞いたの」
『また無茶してないといいけど…』
「ふふふ、やっぱり好きなんだね」
『えっ、だ、誰を?!』
「ツナ君逹のこと」
あまり京子ちゃんやハルちゃんに知られたくない事実を言われて内心ドキリとした私だけど、逹とつけてる京子ちゃんに、ああ…やっぱりと思う。
彼女は多分まだ恋愛方面での考え方がない。だから、私をきっかけで意識させちゃいけない。
だって彼女もツナ君のこと…多分。
「どうしたの?」
『あ、な、何でもない! 来週には顔出してくれるといいね』
「そうだね。ツナ君逹いないのちょっと淋しいよね」
ふふふ、と笑う京子ちゃんはやっぱり可愛い。ライバルなんて思いたくないけど、誰が相手でも少しは好まれる努力をしないと。
『よ、し! じゃあ差し入れ作って応援しよう!』
帰りに材料を買い漁り、明日のお昼に届けるお弁当の具を考えた。あまり料理とかしたことないけど、頑張って作ったら喜んでくれるかな…。
喜ぶ顔が見たくてうきうきと料理本を開いた。
ドガシャー!
京子ちゃんから聞き出した修行場所に向かえば、轟音が途切れることなく鳴っていた。砂ぼこりは待ってるし、何か光ったり爆発したり…あぁ、やっぱりハチャメチャだ。
ビクビクとその場所に近づけば、やっと人影が見える。
『ツナく―――』
彼だと思って声を上げた瞬間、目の前に巨大な岩が迫ってきた。
え、待って。どうしたらこんなもの飛んでくるわけ?!
やだ、死んじゃう。頑張って作ったお弁当と私が区別できないくらいきっとぺしゃんこになるんだ。
なんて、そんなことを考えていれば、私と岩の間に誰かが入り込んで、閃光を放つと共に岩を吹き飛ばした。