Offering

□特効薬
1ページ/4ページ


私が彼を愛することが

彼にとって最高の薬だと思っていた―




『ガラッ』


「仁王君、体調はどうですか?」

「柳生か。おまんが担当医になってから、今までにないぐらい元気じゃよ」

「そうですか。
 ・・・そういえば、仁王君」

「なんじゃ」

「・・・何度言ったら分かるのですか?
 私を“先生”と呼びなさい」

「なんじゃ、そんなことか」

「そんなこととはなんですか!」

「だって、中学から一緒じゃろ?
 そんな直ぐには無理じゃて」

「仁王君、貴方入院してどれくらいですか?」

「うーん・・・分かr「半年です!」そういえば、そうじゃのぅ」

「はぁ・・・貴方は治す気あるのですか?」

「勿論、あるぜよ。
 早く治して奥さんと子供に会いたいき」


彼に言われて思い出した。
彼は大学を卒業して直ぐに結婚した。
そして、今年2歳になる子供もいる。
遊び人だった彼がレギュラーの誰よりも早く結婚することは、皆驚きだった。

勿論、私も例外ではない。
彼にテニス部に誘われた頃から、私は彼の中で1番だと思っていた。
でも、それは違っていた。
私の思いは一方通行で、彼からは“テニスのパートナーとしての友情”しか貰ったことがない。
彼にとって私は、その程度の関係だったのだと思いしらされた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ