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□溺れる金魚
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珍しいことがあるものだ。
今日は部活がないので弦一郎を家によぼうと思っていた矢先に生徒会の仕事が出来てしまい今にいたるのだが…

「よく寝ているな。」

鞄をとりに自分のクラスに戻ると思ってもいなかった人物が俺の席で寝ていた。
「弦一郎、起きろ。」
正直もう少し寝顔を見ていたかったが、10月下旬となるとさすがに肌寒く風邪をひいたら元も子もないので、優しく頭を撫でながら声をかける。
「ん…蓮ニ?」
「おはよう、弦一郎。俺を待っていたのか?」
「うむ、蓮ニに言おうと思っていたことがあったのだ」
「何だ?」
「今日、暇なら家に来ないか?」
弦一郎が自分と同じことを考えていたと思うと嬉しかったが、先に言われて少し悔しかったので、つい意地悪をしてしまった。
「すまないが、今日は用事があってな。」
「…そうか。用事があるのなら仕方ない。ではまたの機会にな。」
残念そうに言いながら弦一郎は席を立った。
「では、帰ろう。」
「ああ。」


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