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□屋上に来い!!
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今の時代は便利だ。送信のボタンを押すだけで本人をまえにしては言えないことでも簡単に伝えられる。

「ハァ、ホントに便利な世の中じゃの〜。」

仁王は携帯の画面を見つめながらため息をついた。今、仁王の携帯の画面にはある二文字が打ち込まれている。宛先は彼の所属するテニスクラブの副部長だ。

「あいつこれ見たらどんな反応するかのう。」

ふざけるなと言われて鉄拳制裁かもしかしたら・・・
  
そこまで考えて仁王はもう一度ため息をついた。どう考えてもいつものようにふざけていると思われるだけだろう。このときほど今までの自分の行動を悔やんだことはない。ふと、以前に自分のいい加減な態度を眼鏡をかけた奴に注意されたな・・・なんてことを思い出し、彼は苦笑をもらした。

今までは自分の態度を他人がどう取ろうと関係なかった。むしろいい加減な感じに取られたほうが好都合だと思うことさえあった。しかし、あいつを本気で好きだと気づいたときに自分のことを本当に理解して欲しいと思った。そんなことは初めてで理解されないことをもどかしいともかんじた。

そう言えば、眼鏡をかけた奴が注意し始めたのはあいつを好きだと気づいた時ぐらいからだ。もしかしたら、この気持ちに気づいていたのかもしれない。

「柳生にはかなわんの。・・・やっぱ、止めじゃな。」

そうつぶやいて仁王は、作成したメールを破棄して新しく作成しなおした。そのメールは、宛先は変わっていないが本文の内容が相手を屋上へ呼び出すものになっていた。

「ここはやっぱり、あいつの得意な真っ向勝負じゃな!」

そう意気込んで送信ボタンを押し、屋上に行くために足を進めた。

「ふられたら柳生に慰めてもらおうかの〜。」




(柳生、仁王から果たし合いのメールが来た。)
(それは・・・多分違うと思いますよ。でもまあ、やっと言う気になったんですね。)


屋上に来い!! By仁王


(あれ、仁王どうかしたの。)
(まさかの、屋上で魔王と遭遇!?)
 

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