Long
□童話のような世界2
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「さてと、そろそろ俺は仕事に行くとするか。」
赤也の作った普通の味覚を持っていたら食べられないであろう朝食を食べ終えた柳は
そう言って席を立った。
「ん、そうか。今日はその・・・赤也の作った料理で悪かったな。」
普通の味覚を持った弦一郎は、赤也の作った料理がまずいのを知っているので、申し訳
なさそうに謝った。
「いや、弦一郎の気にすることではない。赤也が一所懸命作った料理なんだから食べて
当然だろう。」
壊滅的な味音痴の柳は、全然平気だったがあえてそれは言わない。
「蓮二はやはり優しいな。」
真実を知らない弦一郎は、純粋に柳の優しさに感動しているが、多分これは柳の
計算通りなのだろう。
そんな、ふたりの会話をそばで聞いていた赤也は、
(あっれ〜?おかしいな。柳さんの邪魔をしようとしたのに、なんか弦兄の柳さんへの
好感度があがってる気がする。て言うか、弦兄なにげに俺にひどいこと言ってね?)
なんてことを考えながら柳の方を睨んでいた。
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