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□僕は笑って嘘を
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お前と出会った時"何か"が動き出した。あの時俺はそれがわからないほどに子供だった。でも今ならわかる。あれは、一目惚れだったて。確かにお前に惹かれたのはわかってたけど、それは友達としてだと思っていた。だけどまさかそういう意味だったなんてね。
「幸村、」
ふと名前を呼ばれる。顔を上げると思った通り大好きなお前の顔。
「何?」
「いや、部誌を書き終えたのなら2人で帰らないか?」
「いいけど、柳は?いつも柳と帰ってるでしょ。」
「むっ、それはだな…」
「ふーん。何、柳にふられたの?」
「なっ!それは断じて違うぞ!!」
「じゃあ、喧嘩でもした?」
俺がそういうと、真田は困ったように眉を寄せた。そう言えば、今日の部活中柳の機嫌悪かったなぁ。なんて、考えていると真田の顔が少し泣きそうになっている。
「まったく!喧嘩したくらいでそんな顔するな!相談にのってやるから」
「幸村…」
本当は、このまま別れてもらっていっこうに構わないけど、真田が俺以外の奴のせいで悲しむのはちょっといやだから仕方ない。
「で、何で喧嘩なんてしたの?」
「そ、それがだな…」
明日になればきっと、柳と真田が笑いながら話ている所に俺が割り込んでいく、そんな変わらない日常が戻るだろう。…だけど、今この時だけはお前を独占する。
「真田、好きだよ」
声に出して言えない気持ち。でも、大声で叫びたいこの気持ち。俺はいつからこんなに臆病になったのだろうか。今の関係を壊したいけど壊したくない。こんな矛盾だらけの気持ちいつかお前に話したい…でも、まだその勇気がないから…
僕は笑顔で嘘をつく
(もし、俺があいつより先にお前を好きだと言っていたら、お前は俺を選んでくれましたか?)