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□貴方のすべてを所有したい
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普段は、幸村が真田に好意を一身に表現し、真田がそれを受けて照れて居たり、それでも2人仲良く話して居たり、人目もはばからずイチャイチャしたりしている。
一見普通の恋人同士また、事情の知らぬ者が見ればとても仲の良い親友同士と言ったように見えるだろう。

そう、他人は知らないのだ。彼ら2人と仲の良い柳蓮二でさえも。
幸村が持つ異常なほどの感情を・・・



幸村と真田がつきあい始めたのは二年の秋だった。
放課後、部活が終わった後に真田は幸村に一緒に帰ろうと誘われた。
もちろん、真田がその誘いを断るはずもなくその日は2人で帰ることとなったのだ。
帰路につくふたり。時刻は6時をとうに過ぎていて、夕日も沈み2人の周りは闇で満ちていた。
もうすぐ、別の道に行かなければならないというとき、不意に幸村が立ち止まる。
そのことに気付いた真田も立ち止まり幸村の方を振り返る。真田の視線の先には少し俯いている幸村が立っている。
電灯の明かりが頼りなく、彼の表情を照らすもはっきりと確認することが出来ない。真田は、不思議に思い声をかけた。

「幸村?」

「・・・」

「幸村、どうかしたのか。」

「・・・・・・・」

何度か声をかけてみても返事が返って来ず不審に思った真田は幸村へ近づく。
一歩、また一歩と2人の距離が近くなる。そして、幸村の前に立った真田は彼の肩をたたこうと右手を伸ばそうとした。
・・・・・伸ばそうとした手は彼の肩に届く前に彼の左手に掴まれる。




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