Long

□童話のような世界2
2ページ/3ページ



ふと柳が赤也の方を向いた。

(赤也、明日は邪魔をするなよ。)

(絶対嫌です。て言うかもう来ないでください。)

(・・・ふっ、男の嫉妬は醜いぞ。大体俺は、大事な客だろう。客が少なくなったら弦一
郎も困るだろう。それでも良いのか?)

(別に、あんた一人来なくなっても困りません!!)

(赤也・・・。あまり俺を怒らせない方がいいぞ。脅すわけではないが、この前ちょっと
した仕事で俺の怒りに触れた奴がいたが、ここ三週間姿を見た奴がいないそうだ。)

(それすっげー脅してるじゃないすか。というより、ちょっとした仕事って何すか。あ
んた一体どんな仕事してるんですか!?)

(企業機密だ。)

(秘密じゃなくて、機密なのがさらに怪しいんすけど・・・)

しばらくにらみ合っていたが、柳はさっさと弦一郎の方に視線を移し、

「弦一郎、明日の朝食はお前が作ったものが食べられることを期待している。急がない
と仕事に間に合わないので、もう行くがまた明日会おう。」

と言いもう一度半目で赤也を睨みつけてから出て行った。

「ふむ、明日のモーニングセットは蓮二の好きな物にするか。・・・それにしても、蓮
二は何の仕事をしているんだろうな。」

他の客たちも朝食を食べ終え、帰っていた後弦一郎は皿を洗いながら呟いた。すると、
側で食器を拭いていた赤也が、さっきのことを思い出して怒ったように言った。

「どーせろくな仕事じゃないっすよ。仕事の内容聞いても、はぐらかすとか絶対なんか
危ない仕事してるに決まってる。弦兄、やばい仕事してる奴は店に入れない方が良いと思うんだけど〜。」

そう勝手に想像し、朝の出来事の仕返しに弦一郎にこっそり告げ口をする。

「何を言ってる?蓮二があぶない仕事などするわけないだろう。それより赤也、お前は
もっと料理が出来るようになったほうがい
い。今は客も少ないし俺が教えてやろう。少なくとも、コーヒーぐらい淹れられるようになれ。」

「えっと・・・分かりました。」

「どうした?」

「何でもないッスよ!(今朝のは、ただ柳さんに意地悪したかっただけで別にコーヒー
ぐらいは淹れれるんだけどなぁ。)」




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ