未来の魔忍

□第九話
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会場に行くかと誘われた氷織だったが、以外にも断った。
彼等と一緒にいたくないという訳ではなく、螢子と一緒にいたかったそうなのである。
残った氷織は今、螢子の隣にちょこんと座り込んでいる。


「氷織ちゃんは妖怪なの?」
「うん」
「どんな妖怪?」
「んっと・・・、氷を使うの」


ざっくりとした回答に螢子は首を少し傾げる。
氷織は口で説明するより、実演して説明する事にした。
掌の上に妖気を集めて氷の塊を作り出し、螢子の前に差し出す。


「こんな感じ」
「凄い・・・。何も無いところで氷が出来てる」
「ついでに」


今度は右手に氷の剣を作り出す。
突然の剣の出現に螢子は驚きを隠せない。


「これ・・・、剣?」
「うん。あ、触っちゃダメだよ、怪我しちゃう」


思わず伸ばした手を螢子は引っ込める。
必要無くなった事で氷織はすぐに剣を消し去らせた。




「幽助さん、起きないね」


氷織は不意に螢子の膝の上で寝ている幽助に話題を切り替えた。
氷織の問いかけに螢子は呆れながら溜息を吐く。


「ホントね。いつになったら起きるのかしら」
「幽助さん、気持ち良さそうだよね」
「全く・・・。おかげでコッチは身動きが出来ないわよ」


螢子は口で文句言いつつもまんざらでもない様子だ。
そんな様子の彼女に思わず笑みを零してしまう氷織。


「何か可笑しい?」
「ううん、羨ましいなって」
「え?」


思ってもない言葉が返って来、螢子はまたもや首を傾げる。
氷織の表情が切なげに変わる。


「螢子ちゃんは幽助さんの事が好きなんだよね?」
「え!?あ、いや、私はそんなっ・・・!」
「あれ?違うの?」


からかう訳でもなく、素で聞いてくる氷織に螢子はうっ、と言葉を詰まらせ、観念したかのように答える。


「・・・好きよ」
「だよねっ。それで、好きな人にそういう事してあげれるのがいいなぁって」
「・・・ん?という事は、氷織ちゃんにも好きな人いてるの?」


螢子の問いに氷織は思わず『あっ』と言い、顔を赤くして俯いてしまった。
螢子はそこで確信し、わくわくしたような声で氷織に問いかける。


「誰、誰?さっき一緒にいてた2人のどっちか?」
「あ、う・・・」


核心を突かれ、出す言葉が無くなってしまっている氷織。
螢子はそんな事なぞお構いなしにどっちの人?と氷織に更に問いかけている。
誤魔化す事が出来ないと悟った氷織は素直に答える事にした。


「・・・背が低い方」






 
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