メーラブルー
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自殺頭痛って、言葉を思い出した。
テレビでやっていた医学関係のバラエティー番組で聞いた頭痛の一種だ。
ぼーっとしながら眺めていただけで大して内容は覚えていないけれど、要するに、死ぬほど痛い頭痛、だそうだ。
自殺頭痛って言葉がひどく怖く印象に残っていて、一時間番組の全容は忘れてしまったけれど、その通称と大まかな症状だけは記憶に残っていた。本当の病名は……ええと、群発頭痛だったかな。
とにかく、ものすごい頭痛だ。言葉通り自殺し兼ねないほど痛いって意味。
その頭痛を、オレは昨日、擬似的に体験させられたみたいだった。
大人の骸がオレを手術台に押さえつけ(この時点で生きて帰れる気が失せた。絶望的過ぎた)手足を拘束し麻酔を首に打ち込んだ。
「あまり効果はないかもしれませんが、まぁないよりマシですよね」
注射器を持った大人骸の声は今も忘れられない。あっけらかんとした物言いは今思うと気軽過ぎる死刑宣告だ。
それから、刺したら死ぬってぐらい長い針を、何本を頭に刺された。
電気でも通っているのか、刺す一瞬は静電気みたいにびりっとして、後は前後不覚の激痛。
もう大人の骸の顔は見たくない。こっちが部分的記憶喪失なのをいいことに、言いたい放題言いやがって。何が、全部丸く収まった、だよ。
寝たきりだった筈の大人のオレが起きてるってのも怪しいし、骸に会わせてくれないのもおかしい。
未来のオレが「せめて手術が終わるまでは会わない方がいい」って言ってたけど、手術する程の大怪我を骸はしてない筈だ。
オレが最後に覚えてるのは、太ももに穴を開けて、手の平がぼろぼろになってる骸で……うん、手術、いらないよな。多分。
骸本人だって、普通そうにしていた。痛いのを我慢してたんだろうけど、――少なくともあんなことをするぐらいの元気はあった筈なんだ。
(――――)
ぼっ、と顔が発火しかかって、俯く。
途中までしか覚えてないけど、でもちゃんとはっきり覚えてる。骸が、オレに――、