短編
□拍手ログ
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……え。あれ、政宗か?いやあ、偶然だなあ。政宗はここらじゃ名の知れた最強喧嘩屋だからなあ。助かったじゃないか私!
「あ゛ぁ!?上等だごらぁ!てめぇら絞めてや…。」
「うっせぇよ。」
おう。政宗ったら何もセリフの途中で殴らんでもいいじゃないか相変わらず容赦なさすぎだぞこの子は。ほんとにねぇ…いつの間にこんな暴力息子に育っちゃったんだか、お母さん悲しい。
にしても瞬殺だなあ。小さい頃は普通の男の子だったんだけどなあ。
「やー、助けてもらっちゃったみたいで悪いねえ政宗。」
避けられてたっぽいことは、とりあえず置いといてお礼を言う。
「Ah…ちょうど人を殴りたかったんだ。」
ば、ばいおれんとだ…。
「あー、うん。あるよねぇ、そういう日もねぇ。」
はははと乾いた笑いが零れた。たまにこんなバイオレンス政宗が出現するから反応に困んだよなあ。何しろ私ごくごく普通の女子高生だからさあ。
「………。」
え、ってか無視?結局やっぱあたしのこと避けてんじゃねえか。一体あたしはいつどのようにして政宗の逆鱗に触れたんだ。きれいさっぱり思い出せん。
「あー、何も置いてくことないじゃんね。家隣じゃないか。助けてもらったお礼にコンビニでプリン買ってあげるよ?」
………やはしシカトっすか。
「あ、でも片倉さんが作るやつよか美味しくないもんねぇ。じゃああれかなぁ、雑誌とか?いやまあ何か予算500円で欲しいものある?」
くぅ…たかが幼なじみに助けられたくらいでなんで500円も失わなきゃなんないんだよお!
………。そしてまた無視。くっそぉ!なんか反応しろよ。
「あっ、じゃあエロ本買ってあげるよ!」
どおだ!さすがに反応すんだろ!
………。無視。うー。こうなったら強硬手段だ!腕引っ張って振り向かせて…
「じゃ、私をあげる。」
色っぽい声×潤んだ瞳で上目遣い!どおよ?
「て………。」
…て?
「てめぇは――――!」
政宗はコンマ一秒で私の手を見事に振りほどきものすごい早足で家に帰って行ってしまった。
おいおいやりすぎたパターンじゃんこれ。あーぁ、あとで謝りにいこー。片倉さんなら絶対入れてくれるしね。