突発的

□もしいきなり憑依しちゃったらどうする?
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私は今まで優柔不断な人生を歩んできた。


本当は将来の夢があったがお金の問題で近場の極力安い短大に奨学金で入学。


いや、きっとお金の問題だけではない。


私は、私の環境が変わるのが恐かったから別のレールを選んだと思う。


そんな私はいきなり銀魂の坂田銀時に憑依してしまったかもしれない。


水溜まりにうつる坂田銀時。


『えっ!?これ自分!?』


強い雨が降っていた。


銀さんは傘を持っていなかったのか、今の私は濡れまくり。


頬を触ったりつねったりしてみたら私の身体なんだと感じる。



『銀さんになった……』


これは夢かもしれない。


てか、夢ってこんなにもリアルなものだったけ?


もっと普通にトリップしたい。


憑依して、私は坂田銀時になんかなれそうにない。


でも、ちょっとだけ万事屋に行って見ようかな。


初めて歩く道だったけど、なんとか到着しインターホンを恐る恐る押した。


「はーい、って、銀さん!?」


本物の新八だ。


『傘忘れてさー』


銀さんの口調が分からない。


笑えばいいんだっけ。


後頭部をかいておどけてみる。


「どうしたんですか、銀さん。いつもの銀さんじゃないみたいですね。雨にうたれて熱でも出しましたか?」


『うーん、そうかもな』


「新八ーっ、銀ちゃんがどうしたアルか?」


わー、神楽だよ。


『何でもねぇよ』


「何か隠し事アルか?」


『いやー、なぁ、新八?』


「僕にふらないで下さいよ!」


「隠し事アルね!銀ちゃん、隠し事アルなァァァ!」


ドフ、とみぞおちに一発神楽の蹴りが決まった。


『う゛おぉぉえ』


は、吐かないで良かった。


銀さんってすごい。


こんなの毎日やってるなんて、私は耐えられない。


私には無理だよ。


戸にもたれ掛かってやっとの思いで起き上がった。


我慢できる、できないの問題じゃない。


無理なのは無理だ。


私に坂田銀時のふりをするのは一生に無理なんだ。


「銀ちゃん、おかしいアル」


「神楽ちゃんも?銀さん、拾い食いでもしたんですかね」


新八と神楽は居間に行った。


『……ああ、別人だから』


私は静かに傘をとって、音をたてずに戸を閉めた。


『ごめん』


傘を広げて私は万事屋を出た。



どこに行けばいい?


私は銀さんみたいな魔法の言葉なんて持ってないし、まして刀って使えるのかなぁ……。


何で、理由を知りたい。


優柔不断な私は、坂田銀時になっても優柔不断な人生を?


信念を持って生きれるか?



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