突発的

□暗躍でございます!
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『――暗躍の意味はね、ひそかに活動すること』


同じクラスの高羽隆司(たかばりゅうじ)が私に質問したので答えた。


彼は、青龍学園の副会長でブルードラゴンという警備隊長を務めている。


「如月早瀬か……。うーん、どっちも名前みたいだな」


『ちょっと、高羽!』


高羽を睨む。


「え、何?」


高羽は目を潤ませていた。まして、女装までしてやがる。だいたい何で私の姿で……わー、めんどくさい奴。


「で、早瀬……お前宿題やったか?見せてく――」


『悪い。他の人に貸してる』


「ちぇー。早瀬ならやってると思って来たのに」


高羽はすんなりと戻り、他の女子生徒の輪の中に入った。


――早瀬、暗躍って何だ?


私は、椅子から腰を上げる。


『暗躍とは、すなわち』


かすかに声をもらす。


『私のことだよ』


高羽隆司と……夏王院蓮(かおういんれん)それと、仙堂杏樹(せんどうあんじゅ)。


私が影の青龍学園、生徒会会長だよ。


口元が緩む。


今、青龍学園には影の生徒会があるとかで噂が持ちきりだ。


だから、表側の夏王院蓮たちは噂が本物かどうか捜査しているのである。


全くもう暗躍じゃない。


誰かは知らないがもらした誰かがいる。


トン、と廊下を歩いていると肩がぶつかる。


「ごめんなさい、よそ見していまして。会長……犯人が見つかりました。やはり新聞部でした」


『分かった……それにしても、また新聞部か。仙堂さんにもちょっかい出して、潰し――』


「会長、駄目です」


『冗談だって……私こそごめんなさい』


何もなかったように私たちは通り過ぎる。


今の生徒は影の生徒会メンバーの1人だ。


『新聞部、やってくれるじゃないの。ただでは済まさない』


暗躍を公表しやがって。


私は掲示板に貼られている新聞を破り、ゴミ箱に捨てる。


くだらない。


――青龍学園に影の生徒会が!?


――善か悪か、仮面の集団は一体!?


――我ら、新聞部が謎の彼等をあばいてみせる。


――この青龍学園に、夏王院蓮会長に挑んでいるのか。


――青龍学園の危機!?


『くだらない』




(生徒会長の名にかけて)



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