突発的
□ヒメゴト
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【ヒメゴト――淡姫】
あれは、3年前の今日でした。
『――妖怪……なぜ、わたくしを殺さないのです?』
私は一国の姫。そして、妖怪を滅する力を持つ神子として日々金に目がくらんだ父上の命令に従いお金を荒稼ぎしている。
今日は珍しくお客様がいなかった。しかし、父上の命令で妖怪退治をしに森へと出かけた。
別に人間に害がないのならほっとけば良いのに。父上は、まるでお金に取り付かれたようだ。
森へと脚を運ぶと、銀髪の妖怪が妖怪を殺していた。父上に聞くと、銀髪の妖怪を滅するらしい。
と、父上が呟いた。あの妖怪の着物を手にしたいと。……ああ、そういう事でしたか。
私は父上の命令で嫌々銀髪の妖怪を滅しようとした。しかし、すぐに分かった。私のような人間にこの妖怪は殺せぬと。
――父上、わたくしには滅する事はできません。
――何を今更!淡姫、お前のような者は儂の言う事をただ聞いていれば良いのだ!帰ったら只では済ませんぞ!
――父上、あ……。
一瞬でした。父上の首が跳ね、銀髪の妖怪は私の首を掴み、持ち上げました。
死、か。
私は死を決意した。
――貴様、何を持つ。
――う゛、何を持つとは。この状況っで……は。
銀髪の妖怪は、私の首を放す。ドサッと身体が地面に崩れ落ちる。
――はぁっ、ゴホゴホッ……あなた様が何を持つとは、わたくしの妖怪を滅する力ですね。
――貴様、巫女か。
――いえ、神子でございます。
――そうか、もう良い。
銀髪の妖怪は行ってしまう。
――妖怪、なぜわたくしを殺さないのです?
――貴様のような人間、殺す価値もない。
――なぜ!?殺せ妖怪。同情などいりません。
――この殺生丸、同情は一度もしたことはない。散れ。
――珍しい妖怪。
ただ、あの少しの時間。一度きりだった。次の日、また森に行ったが殺生丸様はいなかった。しかし、会えないほど気になってしまった。
「淡姫様、わたくし達の目を盗んで森へと行かないで下さい!心配なのです」
『ごめんなさい、悪いことをしました』
「淡姫様、そろそろお着替えを」
『ええ、今行きます』
私は今日結婚をする。
相手は隣の国のお殿様。会った事はない。今日初めて合うことになっている。
『殺生丸様、……』
お慕いしていました。
「さぁ、淡姫様」
『胸が……苦しい』
淡い恋でした。
「淡姫様、よほど今日の結婚が嬉しいのですね」
『ええ、とっても』
この恋に終止符をうつ。
『幸せになります』
ヒメゴト――秘め事、姫ゴト。