突発的

□兎の耳に念仏
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パウリーの声が聞こえる。


「ナチコ、もう逃げろお前!コイツ等は本気で俺等を殺そうとしてやがる」


『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ』


ルッチ、ブルーノ、カリファ、カクを見つめる。


以前の眼差しではない。


本気で殺す眼だ。


『はは、マジか』


壁に埋まっている身体を、脚で蹴って粉々にする。


ユラユラ、と立ち上がる。


『これが秘密かーっ』


眉間にシワを寄せるCP9。


『皆の秘密聞いちゃったし、私も言おうか、ハァ、ハァ』


横目で麦わら海賊を見ると、こちらに見向きもしないほど怒っている。


私を見ているのは、パウリー、アイスバーグさん、ルッチ、カク、カリファ、ブルーノ。


苦しい時に、仲間に話せば半分になる。


ねぇ、ナチコ、分かってるの、分かってないの。


こんな事したら、自分がどうなるか……分かってる。


ジーと、前のファスナーを開ける。


危険であるが承知で、後ろを向いて半袖を脱ぐ。


髪が腰まであるので、未だ背中は明らかになっていない。


ブラを外す。


パウリーの声がうるさいけど、もうカリファは突っ込まない。


うなじを二つに分ける。


息を飲む声が聞こえる。


『ね、見た?』


「ナチコ、なんだよ。お前、刺青なんか入れてたのかよ。今更、刺青なんか」


パウリーが言う。


「あれは……」


カリファの声が中断する。


私は、前を向く。


また、パウリーがうるさいが前は見事に髪で隠れている。


『天駆ける竜の蹄』


アイスバーグさんは知っているので顔を伏せる。


『世界貴族の紋章』


「って、お前……ナチコ世界貴族なのか?」


シン、と辺りは静まる。


「違う」


カクは言う。


『世界貴族の奴隷だから、この刺青』


パウリーは唖然とする。


今まで一緒にいた仲間が、世界貴族の奴隷だなんて信じられないからだ。


『人間以下の証明なんだ。今まで黙っててごめんね』


アハ、と歯を見せる。


『さ、私を捕まえてくれ』


こうなる事は分かっている。


少しでもいいから、皆と一緒に居させて下さい。


こうするしかない。


17歳での決断。


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