突発的
□Bダッシュ
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「おはよう、跡部」
「竹内、今日は遅いな」
案外、挨拶なんて簡単にできてしまった。あの日から1週間経って自分なりに考えた。跡部はあの子のものなんだから、私はただの友達。特別に考えない。彼女になりたいとか余計なことは思わないことにした。
「今日、部活の朝練あってけっこう長引いたんだ」
「竹内、ソフトボール部だったか?」
「うん、そうそう。ピッチャーだから何かいろいろとやってたんだー」
と言いながらごそごそと机の中に手を入れて物を探る。
「あれー、筆箱ない」
まじかい、二度あることは三度あるみたいだな。これで二回目だけどさ。今日は別な子に借りよう。
「ほら、貸すぜ」
机にシャーペンと消しゴム、ボールペンが置かれた。
「あ、どうもありがとうございます」
「はっ、なんだそれ」
「いやいや、まさか跡部が貸してくれるとは思わなくて。案外優しいねー」
「てめぇ、貸さねぇぞ」
「ごめんごめん」
授業が始まり跡部から借りたシャーペンを使う。何だか、変な気持ち……。
午後の授業は文化祭の出し物を決めた。私達のクラスは白雪姫を演じることになった。そこでみんな公平に役を演じるということであみだくじで決めることになった。
王子様は跡部が似合うけど実際はそうはいかないよね。あみだだし。お姫様もプレッシャーかかるし無理だわ。てか、主要人物にはなりたくない。
なるとするなら小人とか団体で演じるのがいいな。
委員長が黒板に書いたあみだの結果を発表した。
「お姫様は跡部景吾」
「ふはっ」
えっ、まじで!笑える。どうしよう、爆笑したい。
「王子様は竹内里美」
「え……私?」
冗談はよしてください。
跡部の視線を感じる。
「小人役は――」
嘘だ、やりたくない。嫌だよ、何かいろいろとめんどくさいじゃん。
それに、私なんかが跡部の相手になれるはずないし。
「跡部……跡部はお姫様役でいいの?」
「決まったものは仕方ねぇ」
泣きたい。こんな女とラブストーリーとかまじで跡部やだよね。ごめんなさい。
「竹内、今日から放課後練習するぞ。いいな」
「今日から?」
「当たり前だ。文句あるか」
少し嬉しい。いや、本当はすごい嬉しいはずなのだが、この先不安でしょうがない。
「ないです……」
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