生徒会執行部!


□序章
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 これからどうしようかな?

 目の前の光景を怒るでもなく、哀しむでもなく、況して慌てる事もなく、只只ぼんやりと彼女は見詰めていた。何の感情も見えない目で、突っ立って。
 ふと視線を何も無い場所に移すと、じっとそこを見る。

あそこ、箪笥あったよね?

 壁際の何も無い空間を見やり、首を傾げる。
 彼女はそれでも不思議そうに口を曲げ、ノロノロ足を重たげに動かし目線の先へと歩き出す。その部屋は6、7歩足を動かせば壁にぶつかる位の広さでお世話にも広いとは言えず、はっきり言うと狭かった。

 昨日までは確かにあったのに、何で今日は無いのかな?

 壁際へと辿り着くとその場にしゃがみ込み、軽く畳の目を撫でる。そこは明らかに他の色褪せ、古い事がはっきりと見て取れる小麦色ではなく、真新しい畳の色目である若々しい藺草の緑色をしていた。それも不自然な形に。
 畳は途中まで日に焼け小麦色になっているにも関わらず、普通だったら太陽の光りに晒され、色が変わってもおかしくない場所が緑色をしている。その上、畳の色の境目が妙な具合にへこんでいる。それは、そこに今まであった物が取り払われたという事だった。恐らくその今まであった物というのは、彼女が思っている箪笥の様だ。
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