犠牲
□序章
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世界はあまりにも残酷だった。
私たちは決して高望みをしなかった。
ただ普通に、平凡に、
何もなく生きることを望んでいた。
それは人なら、たとえ無意識でも誰もが望むこと。
世界に刺激を望んじゃいなかったし、元より自分が異常だからより平凡を望んでいた。
なのに
幼い私たち姉妹を遺して、両親は死んでしまった。
姉は八歳
私は七歳
駆け落ち婚だった両親で、親戚筋に知り合いはいないし金もない。
葬式もなかった。
私たちはそのまま孤児院に入れられた。
しかし孤児院での暮らしは最低最悪。
姉は可愛がられたが、私はこの青い目を気味悪がられた。
姉は黒い瞳なのに何故青いのか、と。
この青さが気味悪いと言う人もいた。
姉は私を守ってくれた。
喧嘩に強い姉という訳ではなかったけれど、男子に虐められる私の盾になってくれていた。
当時の私には、姉がいてくれたらよかった。
中学に入って、姉はある男性と出会う。
20を越えた成人男性で、とても優しい人だった。
努力から裕福を得た男性は、私たち姉妹を良くしてくれた。
彼は私たちに、家を与えた。
いじめられていた私を孤児院から出させてくれた。
そのあと、姉は彼と付き合っていた。
私と姉は幸せだった。
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