小説・蓋を開けたら2
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海岸から入ったレッド達より大分遅れて、グリーンとブルーは村へと着いていた。あの2人より遅くなったのは、地形の関係上仕方のないことだ。
舗装もされていない村と町を繋ぐ道で2人は立ち止まる。村に近付くごとに強くなっていた“恐怖”は、村の入り口へと立った今、更に強くなっていた。ブルーが真っ青な顔で自らの両腕をさする。行動には出さないが、グリーンの顔色も大分悪い。
森から聞こえた到底生き物とは思えない叫び声のようなものに、2人は反射的に体をびくつかせた。
「な、何、これ!?声、みたいだけど…」
「…わからない、が」
“恐怖”を感じているのも、あの叫び声とも呼べないような声に戸惑っているのも、ブルーと差して変わらないだろうに、グリーン極めて冷静に言った。
「とにかく村人を避難させるぞ」
「…そうね」
ブルーとしてはシルバーを捜したいのだろう。だが、今シルバーを捜しに行けば、魔法を使えない一般市民は死ぬ可能性がある。ブルーはキツク目を瞑り、そして真っ直ぐ前を見据えた。
「行きましょう、グリーン」
「ああ」
2人は村へと1歩踏み出した。