小説・蓋を開けたら2

□12
1ページ/4ページ



 一方、避難所にも“恐怖”が押し寄せていた。
 “恐怖”に震えながらも、イエローはレッドに説明されたとおり、模様のついた杭に向かって魔法陣を展開するように両手を翳した。すると入口に打たれた杭から光の線が出現し、杭から杭へと繋がって行く。光が作り出した網目に光の膜が張られた。
 まっすぐ突進してきたその“恐怖”は、光で作られた壁にぶち当たり弾かれた。だが、それで諦めた様子は無く、何度もぶつかっては弾かれて吹っ飛んでいく。
 ピカとチュチュが入り口に走り万が一に備えるのを横目に収めつつ、イエローは翳す手に力を込めた。直接戦っているわけではないのに嫌な汗が伝う。そんなイエローの手に、別の人の手が重なった。
 村の人を奥に誘導いたブルーが、何時の間にか隣に並んでいた。


「ブル…青さん…!」

「あいつらが戻るまで、守り抜くわよ」


 そう言って、強い眼差しをイエローに向ける。イエローも力強く頷いた。


「はい!」

「ピカ!」

「チュ!」


 ピカとチュチュも外を見据えながら気合の声を上げ、バチバチと放電した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ