小説・蓋を開けたら

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「おっ!グリーン起きたのか!って、何で剣構えてんだよ、危ないな!!」


 入ってきた相手にとてつもない脱力感を感じた。実際に手から力が抜けて行くのを感じる。

「…レッド、ここは何処だ」


 とにかく、今の自分の状況をいち早く確認したい。そう思い、未だ入り口付近から入ってこようとしない部屋の主(おそらく)に声をかけた。


「ああ、ちょっと待ってくれ」


 こちらが剣を向けていた事など全く気にした様子を見せず、普段通りの態度で机とワンセットで置かれていた椅子をベッドの横に移動させ腰かけた。
 そして、ようやくレッドから話しを聞く事が出来たのだった。

 ここがレッドの家で、今までオレが寝ていた部屋がレッドの部屋だというのは当たっていたようだ。
 そして最大の疑問、なぜオレが此処に居るのかと言うと、


「シロガネ山で魔法が使われたみたいだったから見に行ったんだけどさ。や〜、まさかグリーンが気絶してるとは思わなかったぜ!」


 と言うことらしい。
 あっけらかんと言い放ったレッドに軽く殺意を覚えたが、どうにか表に出さない事に成功した。

 だが、そうなると出てくる疑問がある。
 どうやってオレを山頂まで運んだか、ということだ。まさか、背負って運んだのではないだろうと思いレッドに尋ねてみれば、どうやら移動魔法を使ったらしい。
 移動魔法を使うにはちょっとした条件があり、その条件を満たすための魔力が十分ではないためオレはまだ使えない。いつの間に使えるようになったのかと少し悔しくなった。
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